万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

電田プロジェクト―食管制度ならぬ電管制度では

2011年05月24日 15時42分42秒 | 日本政治
休耕田で太陽光発電…孫社長が「電田」計画(読売新聞) - goo ニュース
 先日、ソフト・バンクの孫氏は、休耕田に太陽光発電を設置する案を打ち出したそうです。関心を示す自治体もあるようですが、このプロジェクト、食管制度ならぬ、”電管制度”になるのではないかと思うのです。

 孫氏は、このプロジェクトに先だって、大規模太陽光発電所を全国10か所に建設するメガ・ソーラー計画も提案しており、休耕田の利用は、建設用地確保を目的にしたものであるのかもしれません。自然エネルギーへの期待に乗った形ですが、太陽光発電には、発電効率の低さによるコスト高という難問があります。おそらく、孫氏は、電力会社による太陽光発電買い取り制度の利用か、政府あるいは自治体の補助金を想定しているのでしょうが、この方法ですと、太陽光発電の面積が拡大するほど、財政負担と電力料金が上昇するという深刻な問題点が発生します。食管制度のもとで、政府の予算がひっ迫し、米価が高止まりとなったように・・・。電力事業については、平成7年より自由化が進められてきましたが、むしろ、「電田プロジェクト」は、コスト競争の働かない新たな統制分野を生み出すかもしれないのです。

 そもそも、地方自治体が、特定の事業者と癒着し、補助金を支給したり、費用の一部負担したり、あるいは、政府が、特定の事業者にのみ休耕田の貸し出しに許可を与えることは、特定営利企業への利益供与にあたる可能性もあります(地方自治法第232条違反)。孫氏の企業ではなく、休耕田の所有者である農家が同様の事業を始めることも考えられますが、電管制度化の問題がある限り、国民の負担と産業へのマイナス影響が強く、実現は難しいのではないかと思うのです。

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コメント (7)
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