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万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

女性差別発言批判は政治運動?

2020年10月02日 11時23分53秒 | 国際政治

 自民党の杉田水脈議員は、女性を蔑視した差別的な発言を行ったとして、目下、‘炎上’という事態に至っているそうです。署名者10万人を集める議員辞職要求にまで発展したのですから、相当に酷い言葉で罵ったのかと思いきや、「女性はいくらでも嘘をつけますから」とする解釈の幅が広い発言であったようです。この言葉を以って女性差別と決めつけるのは難しく、むしろ、糾弾する側の不自然さが目立ってしまうのです。

 

 その理由は、第1に、同発言は、理由として述べられているからです(同発言は単独では完結しない…)。つまり、同発言は、具体的な事柄について対話をしている中で、何らかの理由説明として語られているのです。推測に過ぎませんが、おそらく、それは、男性側が被害者となる冤罪事件であったのでしょう。杉田議員は、女性の側が被害者を装ったのではないか、という意味で、「女性はいくらでも嘘をつけますから」と発言したのであれば、この言葉は、女性蔑視とは全く関係がなく、単に同事件に対する推理を述べたに過ぎないこととなります。実際に、女性側の嘘による痴漢冤罪も多発しており、今日では社会問題化していますので、前後の文脈を切り取った発言を以って差別と断定するのは、むしろ、主観による一方的な言論封鎖となる恐れもありましょう。

 

 第2に、最大の嘘が‘私は嘘をついたことはない’という嘘であるように、他者を慮ってのホワイトライであれ、人は、誰もが嘘を吐くものです。「男性はいくらでも嘘をつけますから」とも言えるのであり、「女性はいくらでも嘘をつけますから」という発言は、文字通りに読めば、事実を述べたに過ぎないのです。男女を比較し、「男性は誰もが常に正直であって、女性は誰もが常に嘘吐きである」と断言しているわけでもないのです。それにも拘わらず、主観的な解釈に基づいて差別発言と決めつけ、かつ、かくも激しい反発が起きているとしますと、やはり、別の意図を想定せざるを得ません。

 

 第3に指摘し得ることは、女性差別を糾弾したいのならば、声高に訴えるべき、人道に反するより深刻な問題があるはずです(虐待、DV、人身売買、誘拐、女性の商品化…)。解釈の幅が広い杉田議員の発言に飛びついて、揚げ足取りのように批判するよりも、真に女性を思っての行動であるならば、批判すべき対象は他にも多々あるはずです。

 

第4点の理由は、差別反対原理主義に陥ると、あらゆる側面において混乱が生じてしまうことです。極端な事例では、仮に、女性差別反対を徹底しますと、『旧約聖書』の載る神によってイヴはアダムのあばら骨から造られたとする記述をめぐっても、解釈によっては、差別的と捉えることもできますので、削除を要求しなければならなくなります(もっとも、解釈によってはまったく差別的表現ではない…)。女性差別と捉えてしまいますと、同書を聖典としているユダヤ教徒、キリスト教徒、そして、イスラム教徒も困惑することでしょう(女性信者がいなくなる?)。また、カール・マルクスも、その著書において女性の共有を提唱していますので、共産主義者の方が、よほど女性蔑視の差別主義者と言えましょう(フェミニストが共産主義から離脱?)。

 

 以上に不自然な点を挙げてみましたが、今般の女性差別発言の一件は、やはり、政治運動の一環なのかもしれません。10万人の署名がありながら、ネット上の意見を読んでみましても、同発言を、議員辞職に処すべき許しがたい女性差別として憤慨している一般の人は少ないようです(組織的な投稿は見られる…)。また、批判者は、女性よりも、何故か、男性の方が多いようにも見受けられます。組織的な運動であったとしますと、同発言を、何としても女性差別として糾弾したい側には特別な動機というものがあるはずです。

 

そして、この動機として思いつくのは、冤罪に関連するとすれば、証言が疑問視されている慰安婦問題(ドイツでも新たに慰安婦像が設置…)や全世界的に展開されているme too運動などであり(伊藤詩織氏の擁護?)、リベラル派の国際組織が背後に控えているのかもしれません。あるいは、女性天皇や女系天皇への布石として、国内にあって女性差別反対世論を誘導しようとしたとも考えられます。何れにしましても、特定の目的を有する政治運動である可能性は否定できず、国民は、政界の動きをもよく観察しながら、日本国の内外において何が起きようとしているのか、慎重に見極めてゆくべきではないかと思うのです。


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