苦労なき楽しみ

人気が恐ろしいまでの勢いで爆発中の『鬼滅の刃』もそうであるが、ここ最近の
人気コンテンツは一昔前に比べて数が尋常ではないくらいに多くなった印象がある。
漫画以外にゲームでも、スマホやその他の娯楽にユーザーが移って、数が減ったかと
思いきや『どうぶつの森』のように、どこにそんな数がと思うほどの本数を売り
捌いていたりする。
売れている数だけ見れば、一昔前よりもともすれば多く、あたかもユーザー層が
増えてきているかのような錯覚を覚えるが、もしかしたら総数的には依然減り続けて
いて、単に人気が極度に偏っている結果なのかも知れない。

ただ、そうなると事は意外と深刻で、漫画にしてもゲームにしても、相変わらず
面白いものは出続けていて、それを知る情報源も巷には溢れているにも関わらず、
多くの人はその手間をすら惜しんでものを選んでしまっている可能性がある。
世間では情報が溢れ、それどころか飽和して、そのような環境にあって選ぶことに
疲れてしまったのではないのか。あるいは、ものを楽しむにあたり、それを選択する
苦労を邪魔であると感じるようになってしまったのか。

推測に推論を重ねても仕方のないことであるが、仮にそうだとしても業界が活性化
しているのは間違いないので、これが刺激となってまた新たなる潮流が生まれて
いくことを期待したい。
ヒット作を生み出したメーカーは、是非ともそこでの儲けを足掛かりに、野心作を
数多く生み出して貰いたいと願ってやまない。