自力整体でいきいき歩き: 狛 雅子

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「英語で読み解く 賢治の世界」

2012-09-08 13:29:56 | 推薦図書
ロジャー・パルバース・著  上杉隼人・訳 2008/6 岩波ジュニア新書

東工大の世界文明センター長、パルバース教授の本です。
洗足池の散歩グループリーダーの紹介で、ここの無料講座を聞き始め、
今までは疎遠だった世界に触れ、新鮮な刺激を受けています。

この本は、昨年来、私の本棚にあって、心の片隅で燃え続けていましたが、
いよいよ煮詰まって、ひとつのページに凝縮されてきました。

例によって、私が一番ひっかかっている部分の抜粋にすぎませんが、
写し取っておきます。

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    自分のなかにあるものは、すべてあなたのなかにあり、
    あらゆる物の中にある。
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この現象を初めて教えられたのは、数年前の、指圧のレッスンの中でした。
ツボを見つめて、確信に圧を届けようとするとき、
「見~つけた!」と、手先で追いかければ、ツボは逃げる。

探し求めるものは、相手の中にあるのでなく、
むしろ自分の中にあるので、探さず、ただ相手の気持ちに添ったとき、
初めてお互いの気持ちよさが出現し、響きあうのだと。


以下は、この文章の前後の脈絡です。

P.204
「賢治は科学現象にとらわれていただけでなく、社会現象にもとらわれて
 いました。

 科学では、総合効果(Total effect)は、個別効果(individual effect)の
 相対よりも、はるかに大きくなる、と考えれれています。例えば、
 原子を高い温度で融合すれば、ただ原子をあわてるより、
 何倍もの結果をもたらします。

 
 賢治は、この科学の論理を、社会現象のなかで、すなわち人間同士の
 付き合いのなかで考えようとしました。

 自分のなかにあるものは、すべてあなたのなかにあり、
 あらゆる物の中にある。

 そしてひとりひとりのなかにあるものが、すべてを作り上げる。
 だから、お互い協力し合うことで、ともに熱い情熱を抱いて 
 一つになることで、より大きなものを生み出すことができる。


 われわれは他人かもしれないが、
 他人の存在との関係から脱することはできないし、
 ぼくらを取り囲む環境や自然から抜け出すこともできない。
 
 だからこそ、お互いに力を合わせて、
 個々の能力を一つに合わせた以上のものを
 この社会のなかで実現しなければならない。

    宮沢賢治は、社会現象と個人のあり方を、
    こんなふうに考えていたように思います。」

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コメント
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