蕎麦喰らいの日記

蕎麦の食べ歩き、してます。ついでに、日本庭園なども見ます。風流なのが大好きです。

八っ手屋  神田司町

2009-01-28 21:46:17 | 日本料理
仕事の時間配分から、丸ノ内線の淡路町界隈でお昼を食べることになった。


多分そうなるだろうと予測していたので、頭の中には候補に挙げたお店もあったのだが、この佇まいを見て予定変更。お店に入ると、まずは胡麻油のよい香りが漂う。
お店の大部分はたたきに木製のイス・テーブルが置かれていて、奥に小上がりが一席。
お店はサラリーマンでほぼ満席。相席も当たり前。一様に黒っぽいスーツ姿が面白かった。さらに、ここには女性客の姿がまったく見られない。
硬派な天婦羅のお店、上質なのは一瞬で感じ取れ、当然本日のお昼はこちらに決定。


たいして待つこともなく、熱々の上天丼(900円)。モロッコインゲンに海老二匹、その下をイカのかき揚げが固める。ご飯はどうやら釜戸で炊いたのをジャーで保温したらしい。天露との相性が素晴らしい。かき揚げを平らげる後半になっても、口の中を火傷するくらい熱い。
関東の空っ風の吹く冬の日の昼食に、実に相応しかった。
お昼のピークは相席も出るのだが、食べ終えた中年男性たちは特別な感動を現すでももなく職場へと戻っていく。このお店は地元サラリーマン客のためにある、特別な場所なのである。しかし、このお店のどこか一部でも失われたら、再現することは不可能だ。清潔だが50年位は姿が変わらないお店の味を、地元客に混じって味わう事が出来たのは、なんとも嬉しい一時だった。


こういうお店は看板の姿も説得力がある。先ほど調べたら、この上天丼は20年間で200円しか値上げしていないようだ。