蕎麦喰らいの日記

蕎麦の食べ歩き、してます。ついでに、日本庭園なども見ます。風流なのが大好きです。

旧蝸牛庵前の椋の樹

2009-01-12 21:33:38 | お散歩
幸田露伴は明治20年代には江戸の面影を伝える根岸、向島という東京の東部に居を構え、才走った小説に織り交ぜるように、その地でのそぞろ歩きの楽しさを伝える紀行文を残してきた。それらの珠玉のような文章を見ると、明治の御代となっても、限られた場所では江戸以来のんびりとした時間が続いていたことが感じられる。
そんな露伴が震災をきっかけとして、蝸牛庵を向島から小石川の地に移すことになった。場所は伝通院の脇を入った、静かな寺町の一画である。


おそらくは露伴の心を落ち着かせたであろう椋の樹は、今日においても健在である。
それも都内では珍しいほどの大きさとなっている。昭和20年5月の空襲で焼けおちた小石川蝸牛庵の面影を今に伝える数少ないよすがである。