ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

塩瀬総本家 @東京・築地

2013年12月19日 | 東京都(老舗)

銀座の空也以外にもお土産を購入したお店を紹介。雨のそぼ降る中、東銀座駅から歩いて向かったのは歌舞伎座の向かいにある足袋、手拭の老舗「銀座大野屋」。

Photo

このお店の創業は明治元年(1867)との事だが、新富町の「大野屋總本店」(未訪)の創業が安永年間とのことなので暖簾分けか何かだろうか。店のガラス引戸を開けて店内に入るとたくさんの手ぬぐいが並べられている。うちの嫁は普段からタオルやハンカチ代わりに手ぬぐいを愛用している。曰く、吸収が良く、広げるとすぐに乾き、バッグの中でもかさばらない、と絶賛。渋い柄からモダンな柄、面白いものまで無数に種類があるので、ブランド物とかに興味のない嫁へのちょっとしたお土産にとてもありがたい。それに今回、自分でも鞄に忍ばせて使ってみたが、本当に使い勝手が良く、自分もハンカチ代わりに持つことにした。いくつかを嫁に、ひとつを自分用に購入。

その後、ホテルにチェックインし、次に向かったのは饅頭の老舗「塩瀬総本家」。創業は何と貞和5(1349)年というから、もう自分には何時代かも分からない(笑)。もちろん、ここの饅頭は有名デパートや駅で購入出来るから、そっちへ行った方が便利だろうが、せっかく近くに居るということで本店に歩いて向かってみた。新富町か築地かどちらの駅からが近いだろうか。けっこう外れた場所にあり、築地市場駅付近から10分位歩いた、周りにあまり商店が見当たらないような、学校や住宅のある街中に大きな建物があった。

Photo_2

2Fには喫茶室もあるらしいが訪問時は時間外。日持ちするものしか買っていけないので生菓子は断念して、1週間程日持ちする基本の「志ほせ饅頭」を購入。見た目も味も現在みんなが想像する饅頭そのまま。もちろん創業年数からいくと、この饅頭がその原型か、それに近いものだろう。650年の歴史をいただいた。

銀座大野屋

東京都中央区東銀座5-2-13

塩瀬総本家

東京都中央区明石町7-14

(ぎんざ おおのや 大野屋 大野屋総本店 おおのやそうほんてん しおせそうほんけ しおせ しほせ しほせそうほんけ 塩瀬總本家)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

The Bridge School Concerts Vol.One / Various Artists

2013年12月18日 | クラシック・ロック

Bridge

The Bridge School Concerts Vol.One / Various Artists (1997)

随分と前に発表された二ール・ヤング(Neil Young)夫妻が主催するブリッジ・スクール・ベネフィット・コンサートのライヴ演奏のオムニバス盤。彼ら自身、障害を持つ子供の親だそうで、それだけにこのチャリティー・イベントにかける思いは強いだろう。コンサートは毎年開催されていて、1986年から続いているというからすごい。昨年は25周年記念のDVDなんかも発表されたようだ。主催者が二ールだからなのかは分からないが、毎年参加するメンバーが超豪華。その中からここには15組のアーティストが収録されている。アコースティック演奏での参加が多いので、聞き慣れた曲もいつもの演奏と違った雰囲気を味わえる。

どのアーティストの演奏もリラックスした中に気合が入っていて、けっこう聴かせる(過去の演奏から出来のいいものが選りすぐられているだろうから当たり前か)。大物揃いで安心して聴けるが、8のミニストリー(Ministry)なんてアコースティックが似合わないが面白い。中でも最後に収録されたパティ・スミス(Patti Smith)は熱演で、思わず引き込まれるようなパワフルなヴォーカルを披露している。

このアルバムは「Vol.One」と題されているが、自分の知る限り続編アルバムは発売されていないと思う。

01 Neil Young / I Am A Child
02 Tom Petty / Shadow Of A Doubt (A Complex Kid)
03 Tracy Chapman / All That You Have Is Your Soul Guitar
04 Pretenders, The & Duke String Quartet / Sense Of Pupose
05 Beck /  t's All In Your Mind Guitar
06 Bonnie Raitt / The Road's My Middle Name
07 Don Henley / Yes It Is
08 Ministry / Friend Of The Devil
09 Simon & Garfunkel / America
10 David Bowie / Heroes
11 Pearl Jam / Nothingman
12 Lovemongers / Battle Of Evermore
14 Elvis Costello / Alison   
15 Patti Smith / People Have A Power 

(オークションにて購入¥318)

  • CD (1997/11/18)
  • Disc: 1
  • Format: Import, Live
  • Label: Reprise / Wea
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

博多だるま @福岡県福岡市

2013年12月17日 | 福岡県

ふだん出掛けた先であまりラーメンは食べないが、深夜に小腹がすいて、結構歩き疲れてもいたので宿泊先から近かったここ「博多だるま」へ。店のHPを見ると昭和38年創業と書いてあるが、個人経営でなく会社組織のようだ。店は細い道の路地にあり、バラックのような造りの建物。深夜とあって客は少ないが、ゼロでないのはすごい。空いたテーブル席に座って基本のラーメンを注文。

程無くしてラーメンが運ばれてきた。いわゆる豚骨ラーメンで定番のネギときくらげとチャーシューのトッピング。脂が浮いてややこってりとしたスープの香りは思ったほど強くなく、食べにくさはなかった。細麺の茹で加減は普通でお願いしたが、丁度よかった(自分は「カタ」は好みではない)。チャーシューはやや脂身が多い。総じて食べやすい万人受けするだろう豚骨ラーメンだった。それでもこの位でも豚骨ラーメンを食べ慣れていない人や年輩の人にはきついだろうか。いわゆる本場の王道ラーメンなんだろうとは思うが、わざわざ遠出してもここ、という強烈な惹きはなかったかな。昔は他所にあまりない特別なラーメンだった博多風の豚骨ラーメンは今となっては探せば全国どこででも食べられるようになったし、地方でもレベルは上がっていて、自分の住んでいる地方でも人気店がある。

HPには「暖簾分け・FC展開などせずに守り続けられる門外不出の豚骨ラーメン」と書いてあるが、ん?しっかり多店舗で経営しているようなんですけど…(笑)。(勘定は¥680)

博多だるま

福岡県福岡市中央区渡辺通1-8-26

(博多 だるま はかただるま)

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

更科 @岐阜県岐阜市

2013年12月16日 | 岐阜県(岐阜・老舗)

Photo

岐阜市近郊の人々にとって、時にはソウル・フードとまで言われる「更科」。創業が昭和3(1928)年という老舗蕎麦・うどん店だ。店は岐阜中警察署の裏手にあり、駐車場も完備している。店に入ると入れ込みの土間にテーブルが並び、小上がりもある。昼時などはごった返す事もあるので基本的には相席。それでも回転がとても速いのであまり待たされる事はない。

この店の名物は「冷やしたぬき」。もちろん蕎麦とうどんどちらにも出来るが、圧倒的に蕎麦を頼む人が多く、注文を入れるとものすごい早さで目の前に丼が置かれる(笑)。自分が行った時は他の人が言うように30秒という訳にはいかなかったが、それこそ2、3分で出てきた。まさにこれこそファスト・フード! 厨房を覗いたことはないが、このスピードなのでもちろん茹で置きだろうと思う。蕎麦を水切りし、その上にたまり醤油由来の濃いめでやや甘めのたれ。そしてこれまたしっかりと濃いめに味付けられた揚げとサクサクの天かすとネギのトッピング。丼の端には多めのねり山葵が付けられている。正直蕎麦は大したことないのだが(何と驚きの小麦粉7:蕎麦3!)、このシンプルなメニューがなぜかクセになるあなどれない味(笑)。今の時期はどうだか知らないが、暑い時期だと冗談抜きで8、9割の人がこの「冷やしたぬき」を注文している。W(大盛)を注文している人も多い(老舗で大盛でなくダブルっていうのも面白い)。暑い時にさっと食べるにはちょうどいいんだよね。他の蕎麦屋にも冷やした蕎麦のメニューは色々あるし、もっと蕎麦の風味を生かした洒落たものはいくらでもあるけれど、ついコレなんですね。

岐阜市近郊には他にも「更科」を名乗り、同様に同仕様の冷やしたぬきを提供する店があるが、店のHPによるとほとんどがここの暖簾分けだそうです。(勘定は¥650)

この後の記事は(2)(3)(4)(5)(6)(7

 

更科 (さらしな)

岐阜県岐阜市京町3-4

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

YOKOHAMA 24-07-04 / The Who

2013年12月15日 | クラシック・ロック

Who_yokohama  Who_osaka

YOKOHAMA 24-07-04 / The Who (2004)

OSAKA 24-07-04 / The Who (2004)

2002年からThe Whoのライブツアーは公演がまとめて安価で正規発売されるようになり、全公演を集めたボックスも出た。もちろん全部合わせるとかなりの金額なので、どれくらいの人が手を出したのか知らないが、自分が行った公演、あるいは行きたかった公演のメモラビリアとしては最高の企画だろう。さすがにどのアーティストもこれをやる訳にはいかないだろうが、現在はほとんどの公演をデジタルで記録しているらしいからやろうと思えば出来る訳だ。

このザ・フーの2004年の来日公演は同様にTheMusic.Comが発売したもので、ザ・フーとしての初来日公演と言う意味で重要な作品だ。ただし、この公演は単独公演ではなく(単独公演での初来日は2008年まで待たねばならない)、日本の呼び屋最大手のウドー音楽事務所が企画したフェスティバル「THE ROCK ODYSSEY 2004」での公演だった。(日本のアーティストは別として)ものすごい面子ではあったが、自分は参加出来ず、悔しい思いをしたものだ。でも初来日がフェスって正直微妙で、セットリストは短いし、チケットは高いし、見たくないアーティストもいるし、時間が長いし、と最初からあまり行く気がしなかったのが正直な気持ちだった。あのザ・フーなのに!それがこうして公式音源で聴けるのは素晴らしい。

初日の横浜は暑かったと聞くが、こうしてCDを聴く限り、バンドの演奏は気合が入っているようだし、観客も楽しんでいるようだ。ロジャー(Roger Daltrey)のヴォーカルもまずまず。ジョン・エントウィッスル(John Entwistle)には間に合わなかった(02年死去)が、サポートメンバーは実力者ぞろいだし、雰囲気も壊していない。ところどころ演奏がもたつくのはフェスという会場だけに仕方がないだろうし、ジョンのあのベースラインをコピーしなかったのも仕方がないだろう(あえてそうしたのかな?)。あぁ、やっぱり行くべきだったかな…。もちろん見ないで後悔するよりは見て後悔しろっていうのはライブの鉄則なのは充分分かっていたのだが…。横浜ではアンコールでピート(Pete Townshend)が伝説のギター壊しを披露したのも話題になった(音だけでは少し分かりにくいけど、Disc2‐7に記録されております)。ザ・フーがジョンが亡くなった後も活動を続けたのにはびっくりしたが、何よりもライヴのクオリティ-を維持(向上?)したままだったのが凄かった。ピートは89年頃難聴でエレキギターを弾けないって言っていたのはなんだったんだろう? これはザック・スターキー(Zak Starkey)をはじめとするサポートメンバーの力量でもあるだろう。もちろんそれぞれの公演ではもたもたしたところも余すことなく収録されてしまっているが。

単独で来日した2008年の公演はもちろん行った。でもそのツアーだけなぜか公演のCDは発売されなかったんだよね…欲しかったのに(涙)。

オークションにて購入(¥1,159/枚)

  • CD (2010/5/17)
  • Disc: 2
  • Format: Limited Edition, Live
  • Label: Eelpie/The Music.Com
  • CD (2010/5/17)
  • Disc:2
  • Label: Eelpie/The Music.Com
  • コメント
    • X
    • Facebookでシェアする
    • はてなブックマークに追加する
    • LINEでシェアする

    吉野鮨本店 (2) @東京・日本橋

    2013年12月14日 | 東京都(老舗)

    Photo

    今回の東京訪問で「締め」に選んだ店は日本橋・高島屋近くの老舗鮨店「吉野鮨本店」。創業は明治12(1879)年。日本橋は東京駅(八重洲口)からも近く、徒歩圏内なので、帰りの新幹線の時間を合わせてさっと食事をするにも便利。駅の売店や車内販売でつまらないものを腹に入れる必要がないので有難い。近辺に来ると必ず立ち寄る近くの地図専門店「ぶよお堂」で最近お気に入りの楽しい俯瞰図のクリア・ファイルなどをお土産に購入し、予約した時間にのれんをくぐった。

    前回はランチでの訪問だったので夜は初めて。一応予約を入れておいたが、歴史ある店ではあれど気取らない店なので空いていれば飛び込みでも問題ないだろうと思う。カウンターに座ってお茶をもらう。本当ならお酒から入りたいところだけれど、これから混みいった駅へ行ったり、新幹線に乗らなくてはいけないので、あまり酒臭いのもね。(リニューアルした最近の東京駅構内は人がごった返していて、居るだけでどっと疲れてしまう程だし)。ここはグッと我慢して握りに集中です。

    ここの握りは仕事のしてあるタネである事はもちろん、大きさといい、形といい、これぞ江戸前鮨という感じ。いわゆる極上のタネや珍しいタネ、あるいは洒落た創作などで勝負する握りではなく、奇を衒わない基本通りの(←偉そうな言い方ですいません・汗)しっかりと満足出来る握り。この日は、カウンター上のガラスケースにあるタネの中から、それに死角に入って見えないタネを握り手に訊いて、次々と平らげた。思い出したけど前もこの年輩の人に握ってもらったな。帰ってから記憶を辿って指を折ってみたら約17貫食べていた。それに要する時間が約20分。長居は苦手とはいってもちょっと早く食べすぎか(笑)。どれも満足出来る味だった。

    カウンターに入った握り手はお弟子さん含めいつも数名居るが、基本的には自分の前の客を相手するのかな。店の人と丁々発止やりたい人にはあっさり過ぎて物足りないかもしれないが、自分のようにほど良い距離で居たい者にとっては丁度いい按配の接客。熱くもないし、冷たくもない。気取らず自然で居られる店だ。まっとうな鮨をまっとうな値段で食べられる幸せ。この日の勘定も酒が無かったとはいえ、カウンターで仕事のしてある握りを好きに食べてこの値段だったら素晴しい。(勘定は¥7,000程)

    Photo_2

    前回の記事はこちら

    この後の記事はこちら

     

    吉野鮨本店

    東京都中央区日本橋3-8-11

    (よしのすし よしのずし よしのずしほんてん よしのすしほんてん 吉野鮨 吉野寿司) 

     

    コメント
    • X
    • Facebookでシェアする
    • はてなブックマークに追加する
    • LINEでシェアする

    The Best of George Clinton

    2013年12月13日 | ソウル・ファンク・R&B

    Clinton250

    The Best of George Clinton (1986)

    ファンクの総帥ジョージ・クリントン(George Clinton)のベスト・アルバム。86年という時期に編纂されたベストなのでキャピタルに所属して発表されたアルバムからの選曲ということになる。この後はプリンス(Prince)のペイズリー・レーベルなど所属が様々になるので、系統だったベストとしては掴みづらいソロ名義のジョージ・クリントン。その母体であるPファンク(P-Funk)とソロをどう折り合い付けているのか全然分からない。この時期だともうPファンク・オールスターズか。どちらにせよその複雑なファミリー・ツリーから、後追いで把握するのがとても困難なジョージ・クリントンとPファンク。

    このベストは80年代まっただ中で、当時らしい音作りなのでやや奥行きのないシンセ・ドラムの音色が中心。元々混沌として連続するグルーヴ主体の曲が多いので、メロディーは掴みどころがなく、好き嫌いは分かれるだろうと思う。もともとはヴォーカル・グループ出身なのにね。自分もこの時期を好んで聴くかというと微妙。この後に発表された「Hey Man... Smell My Finger」(1993)は愛聴したけど。

    JB(ジェームス・ブラウン)などと並び、自分がアーティストとして前面に出るだけでなく、プロデュースや若い才能の発掘など裏方の仕事の方がすごい彼だけに、このベスト収録曲でも掌の上で周りの人間を遊ばせているような感じ。いわゆるラップ的なアプローチの曲もあるがそれは正直あまり面白くない。曲としての出来はやはり1が白眉かな。

    1 Atomic Dog
    2 R&B Skeletons (In The Closet) 
    3 Quickie
    4 Do Fries Go With That Shake
    5 Hey Good Lookin'
    6 Double Oh-Oh
    7 Nubian Nut
    8 Last Dance 

    ブックオフにて購入(¥250)

  • CD (1990/10/25)
  • Disc: 1
  • Format: Import
  • Label: Capitol
  • コメント
    • X
    • Facebookでシェアする
    • はてなブックマークに追加する
    • LINEでシェアする

    ふくべ @東京・八重洲

    2013年12月12日 | 東京都(老舗)

    Photo

    東京駅からもほど近い八重洲の名居酒屋「ふくべ」。創業は昭和14(1939)年とのこと。この店を知ったのは何でだったか思い出せないが、一度行ってみたいと思っていた。今回は少し時間が限られているが、縄のれんがかかったばかりの開店してすぐの時間にお店に行ってみた。店は縄のれんをくぐって引戸を開けると左側がカウンター席、右側がテーブル席。ずらりと並んだ一升瓶と杉樽が目を惹く。店の壁や柱はいい感じに年月を重ねていて、もうその佇まいだけで名店間違いなしという感じ。主人にどちらでもと言われたので迷うことなくこじんまりとしたカウンター席へ。

    杉樽に目を奪われていたので、お酒はもちろん樽酒(菊正宗)をぬる燗で注文。ラッキーな事に今日が口開けだという杉樽から升を使って丁寧に計って徳利に移され、燗をつけられる。もうこの主人の手慣れた所作を見ているだけで嬉しくなってしまう。つまみにはぬたを注文。杉の香りが移った樽酒は温度といい、味といい、つまみとの相性といい、文句なしの100点。ここは他にも色々なお酒が揃っていて、純米だとか吟醸だとかっていう今風の選択肢もあるが、本醸造の揃えが多いのが老舗らしい。でもどれを飲んでもこの樽酒と絶妙な燗つけに勝てるとは思えない。次に予定が入っているのが恨めしい。本当はこの店の名物というくさやを食べてみたかったが…残念。

    若造の自分にもしっかりとわきまえて丁寧な言葉使いで話をする主人はとても気さくで、店構えから若干緊張していた自分もすぐに居心地が良くなった。老舗の名店と呼ばれる店を若造なりに結構な数体験してきたが、今でも人気が続く店のほとんどは、ここの店のように本当に謙虚で、物腰も丁寧だというのが自分の印象だ(もちろん中には例外もある)。

    この日は他の客も交えて、取材を受けたテレビ東京の人気番組「アド街ック天国」(11月9日放送分)の撮影裏話が聞けて楽しかった。なんとほんの数分の出演に対しての取材、撮影時間は5時間以上とか。しかも店に居た客の全てから出演許可をもらうが、許可が貰えない客が1人だけあって、後日もう一度撮影だったんだとか。へぇー。

    まだ4時半過ぎというのに次から次へと客が入ってくる。常連らしき人もいれば自分のような一見客もいるが、もちろん主人の対応は変わらない。滞在時間は短かったが、この店の良さの一端を感じられたのは嬉しい。絶対また来るぞ。(勘定は¥1,500程)

    この後の記事はこちら

    ふくべ

    東京都中央区八重洲1-4-5

    コメント
    • X
    • Facebookでシェアする
    • はてなブックマークに追加する
    • LINEでシェアする

    安兵衛 @福岡県福岡市

    2013年12月11日 | 福岡県

    Photo_2

    中州の繁華街を通る国体道路からちょっと脇道に入った路地にひっそりと佇む、おでんが名物の居酒屋「安兵衛」。のれんをくぐりながらガラスの入った引戸を開けると、土間の左側にカウンターと右側にテーブル席。入ったとたんに、あぁ、これ多分いい店だと実感できる、年月を経て落ちついた渋い店内。それでも創業は昭和36年だから思ったほど古くはないみたい。そこに法被を着た主人と女将、それに厨房に入った方(息子さん?)の3人が切り盛りしている。大きな鍋に入った色の濃いつゆとおでんダネ。このおでんと酒の給仕は主人の担当らしい。

    閉店までもう少しという時間だったからか、「おでんのタネで無くなっている物もありますが、よろしいですか?」と高齢の主人の丁寧でよく通る張りのある声。かくしゃくとしていらっしゃる。お酒は司牡丹をぬる燗でお願いした。一緒に運ばれてきたお通しは綺麗に形の揃った目刺し5本。渋いです。主人の丁寧な燗のつけ方も、酒の口当たりも絶妙で旨い。

    それから主人におでんをいくつか注文。大根は濃い色のつゆがしっかり浸み込んで旨い。それでも見ためほど味は濃くない。つみれはよく見る小さなお団子状ではなく、大きい肉だんごといった感じ。挽いた鶏肉の食感と細かく刻まれた具とつゆが相まって旨い。これも見た目ほどではなく口当たりは軽い。どちらも日本酒以外は考えられないという感じのいい塩梅の味付けで、閉店間際でなかったらもう少しゆっくりして色々試してみたいところ。本当に残念。

    お客さんはカップルで来ている若い人も居れば、もう何十年も通っていそうな地元の方もいて様々だが、ただ古くて居心地がいいだけでなく、主人をはじめ店の人が、そういった常連の方々にも、慣れ合いでなく、しっかりわきまえた言動をするのが見ていてとても気持ちいい。(勘定は¥1,700程)

    安兵衛 (やすべえ)

    福岡県福岡市中央区西中洲2-17

    コメント
    • X
    • Facebookでシェアする
    • はてなブックマークに追加する
    • LINEでシェアする

    武蔵野本店 @岐阜県岐阜市 (※閉店)

    2013年12月10日 | 岐阜県(岐阜・老舗)

    Photo_2

    岐阜市の表玄関である岐阜駅を北へ向かう長良橋通り。ふた昔くらい前まではまだ休日ともなると賑わっていたこの通りも今は昔。デパートや大店の撤退が続き、見る影もない。細々と営業を続ける店もなんだか活気が感じられず、昔を知る人間にとっては隔世の感。その通り沿いに店を構える創業大正3(1914)年の老舗和食店「武蔵野本店」。蕎麦もうどんもご飯ものもあるいわゆる大衆食堂だが、釜飯が名物らしい。

    店に入ると年季の入った小テーブルとイスが並んでいて、小さなスペースの小上がりもあった。向かいの棚には結構な数の漫画が並んでいて一瞬不安がよぎるが、とりあえず席に着き、メニューの中から冬季限定の「かき釜飯」を注文。「20分ほどかかりますが…」と言われたがもちろんOK。しっかり鉄釜で炊かれるので楽しみだ。ここはひとつ漫画でも、と漫画を手に取る。後から分かったのだが、ここの店主の郷土愛から岐阜出身の作家の作品など、岐阜にまつわる漫画が集められているのだそう。なるほど。古い店ではあるが、次から次へと客が入っていて、安定した人気のある店であることが分かる。

    漫画のお陰で待つ時間もあまり長く感じず、年季の入った黒い鉄釜に入ったかき釜飯が運ばれる。炊けたばかりだから熱々。早速、木の蓋を取ってみると…なんともいい牡蠣の香り。しっかり牡蠣のエキスを吸い込んだご飯は艶々としていて、炊き加減はやや硬め。もちろん鉄釜なので、場所によって軟らかさの加減や焦げを含む味は違う。味付けは割りとしっかりめで、牡蠣のサイズは普通。個人的にはもう少し薄味の方が好きだけど。いくつ入っているかは数えなかったが、ご飯の中からも牡蠣が出てきて充分の量だった。ご飯は結構な量が入っていて、普通サイズの茶碗に4杯程。ひとりで食べたのでお腹いっぱい。小食の方は食べきれないかもしれないので、別メニューを頼んで2人で釜飯を分けるっていうのもいいかも。(勘定は¥1,000)

    この後の記事はこちら (2)(3)(4

     

    武蔵野本店 (むさしのほんてん)

    岐阜県岐阜市神田町3-12-2

    ※令和4年12月31日を以って閉店されました

     

    コメント
    • X
    • Facebookでシェアする
    • はてなブックマークに追加する
    • LINEでシェアする