ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

The Real Royal Albert Hall 1966 Concert! / Bob Dylan

2021年08月09日 | クラシック・ロック

The Real Royal Albert Hall 1966 Concert! / Bob Dylan (2016)

ディラン(Bob Dylan)66年のイギリスはロイヤル・アルバート・ホールでのライヴ録音が単独で発売。タイトルに”Real”とあるのは、かつて海賊盤初期の頃に”Royal Albert Hall”の名で盤が広く出回ったのだが、実際に収録されていたのはマンチェスター公演の音源だったため。しかも1998年、オフィシャル・ブートレグ・シリーズではそのマンチェスター公演を発売する際に、わざわざ”ロイヤル・アルバート・ホール”と題して悪ノリしたため、こちらが本当の”ロイヤル・アルバート・ホール”ですよという意味での”Real”。1966年の豪英仏米と回ったツアーは「The 1966 Live Recordings」というタイトルで36枚組(!)のボックス・セットが発売されたため、22公演もの音源を聴くことが出来るが、そちらにはこのロイヤル・アルバート・ホール公演は収録されておらず、正真正銘の初登場となる。

1966年の公演はどれも前半がアコースティック、後半がエレクトリックという構成。”フォークの神様”として神格化されていたディランがプラグド・インしたもんだから、フォーク原理主義者の怒りを買い、ブーイングや罵声が飛び交ったという曰く付きのツアーだ。実際に聴いてみると観客の反応はそこまで酷くないように思うが、ディランがステージ上から何度も投げやりに反論したりするところをみると相当堪えていたのだろう。

まず、前半のアコースティック演奏。もちろんディラン1人でフォーク・ギターとハーモニカのみの演奏だが、これが凄まじい。ものすごい緊張感の中、1人で演っているとは思えない音の厚みがあり、時折ブロウされるハーモニカは火を噴くよう。ディランのヴォーカルもひと言ひと言に力が入って凄い…。どの曲も名演と言っていい素晴らしい演奏だ。痺れるなァ。そして後半は問題のエレクトリック。バックの演奏はもちろんホークス(The Hawks)。つまり後のザ・バンド(The Band)。ただしドラムはリヴォン・ヘルム(Levon Helm)ではなくミッキー・ジョーンズ(Mickey Jones)。演奏が始まると荒々しく、パンキッシュと言っていいくらいの激しい演奏。エレクトリックな爆音に慣れていないフォーク・ミュージックを期待していた聴衆が腰を抜かすのも無理はない。全体としてはブートになった有名なマンチェスター公演より出来がいい気がする。確かめるために久しぶりに「The Bootleg Series Vol. 4: Bob Dylan Live 1966, The "Royal Albert Hall" Concert」も引っ張り出してこよう。

amazonにて購入(¥1,078)

  • Label ‏ : ‎ Columbia /legacy
  • ASIN ‏ : ‎ B07DR9VRTS
  • Disc ‏ : ‎ 2
コメント (2)
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