ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

Miles at the Fillmore: Miles Davis 1970

2014年04月13日 | ジャズ

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Miles at the Fillmore: Miles Davis 1970 (2014)

またもやマイルスの未発表ボックス・セット4枚組。今度は1970年のフィルモア・イーストでのライヴ音源。これでオフィシャル・ブートレグ・シリーズは第3弾になる。もちろん名盤2枚組の「Miles Davis At Fillmore」の元となる音源で、完全収録だとのこと。前回発売のボックス・セット「Miles Davis Quintet: Live in Europe 1969」からわずか1年でこのヴォリューム。エレクトリックなマイルスが好きな人にとってはこれ以上ない幸せな状況だ。

完全盤が発売されると、おのずとオリジナルで発売された時のテオ・マセロ(Teo Macero・プロデューサー)の思い切った、それでいて的確な編集の妙技を改めて感じる事になる。やはりさすがだなぁ。当時この盤のようにコンサートを丸々発表していたら、当初日本でのみ発売された「Black Beauty」のように若干散漫なところも聴かせる事になり、現在のような名盤としての評価は受けにくかっただろうし、何よりバンドとしての評判はここまで上がらなかっただろうと思う。つまりいいとこ取り。昔のライヴ盤は多かれ少なかれ編集や録りなおしがあったりして、悪く言えばでっち上げた盤が多い。最近でこそ完全収録盤みたいなのが尊ばれるようになったけれど、自分はどちらかというと「作品」として作り込んで欲しいかな。

もちろんどんな時代にあってもファンはコンサートをコンプリートで追体験したいという欲求があるから、この4枚組の価値は下がる事はないだろうし、幸せな状況であることに変わりはない。何と言っても40年以上前のライヴだ。フィルモアという「ロック」な会場に乗り込んで、どのロック・バンドより「ロック」するマイルスはかっこいい。

ほぼ条件反射で購入したが、このリリース・ラッシュを手放しで喜べているかというと…少し微妙。というのもこのあまりの物量に、どうしても個々の音源の聴き込みが足りなくて、素晴しい音源の印象が散漫になりがちで、前述の「1969」でさえまだ消化しきれていない状態なので、続いてのこの4枚はもうお腹いっぱい。彼らの音楽って、何かしながらとか、ドライヴ中に聴くという感じではなくて、ある程度こっちのテンションが必要なので、なかなか長時間集中して聴く事ができない。出来ればボーナスとして収録されているフィルモア・ウエストの音源は分けて別添にして欲しかったなぁ。贅沢なこと言ってます。

音質もいいし、アートワークも洗練されていてなかなかいい。コンプリート・セッションズのシリーズでは、選曲やら何やらでなかなかファンの支持を得られなかったが、やはりライヴはいい。自分は誰々のプレイがどうとか、このフレーズがどうっていう細かい聴き方は苦手で、バンドとして一体の大雑把な聴き方しか出来ないが、もし初めて聴く人がいたら、やはり2枚組の「Miles Davis At Filmore」を先に勧めるかな。

amazonにて購入(¥3,682)

  • CD (2014/3/25)
  • Disc: 4
  • Format: CD, Import
  • Label: Sony Legacy
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