マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

ドリームハウス

2012-12-17 18:02:33 | 映画ー劇場鑑賞

ードリームハウスーDREAM HOUSE

2011年 アメリカ

ジム・シェリダン監督 ダニエル・クレイグ(ウィル・エイテンテン)ナオミ・ワッツ(アン・パターソン)レイチェル・ワイズ(リビー)マートン・ソーカス(ジャック・パターソン)イライアス・コティーズ(ボイス)ジェーン・アレクサンダー(グリーリー先生)テイラー・ギア(トリッシュ)クレア・アスティン・ギア(ディディ)レイチェル・フォックス(クロエ・パターソン)サラ・ガドン(シンディ)グレゴリー・スミス(アーティ)

 

【解説】

007』シリーズのダニエル・クレイグ主演によるスリラー。郊外の屋敷に移り住んだのを機に頻発する奇怪な事件から妻子を守ろうとする男の姿と、その果てに待ち受ける驚がくの事実を活写していく。本作での共演をきっかけにダニエルと結婚した『ナイロビの蜂』のレイチェル・ワイズが妻にふんし、彼との息の合った演技を披露。また、『21グラム』のナオミ・ワッツが謎めいた近所の住人を演じて強烈な印象を放つ。家族愛を深く見つめたドラマとしても仕上げた、『父の祈りを』などの名匠ジム・シェリダンの手腕にも注目。

 

【あらすじ】

家族と向き合う時間を増やそうと、ウィル(ダニエル・クレイグ)は会社を退社して郊外の家に越すことに。父親以外の家族が殺害されたいわくつきの家だったが、妻リジー(レイチェル・ワイズ)や子どもたちと穏やかな日々を送れることにウィルは満足する。しかし、不気味な男が家の周辺をうろつき、子どもたちが幽霊らしきものを見たと騒ぐなど、不審な出来事が相次ぐ。そんな中、ウィルは向かいに住むアン(ナオミ・ワッツ)から、以前の居住者一家殺人の犯人が彼らの父親で、いまだに捕まっていないと教えられる。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

同じシネコンで、ダニエル・クレイグ主演の作品を同時に公開しているって、変な感じ。

片一方は007=有名なスパイだし、こちらは平凡なお父さん。

 

この作品は、ジャンル分けをしたらたぶんホラーなんだけど、途中まではサスペンスみたいな感覚なので、何の先入観もなく見て欲しいです。

 

ウィル(ダニエル・クレイグ)は、編集者として一流の人間だが、今日は会社を退職する日。

みんなが惜しんささやかなパーティを開いてくれた。

これからは、家族と過ごす時間を増やすのだ。

郊外の家へと帰る。

携帯で電話をすると、愛する妻リジー(レイチェル・ワイズ)が、玄関から顔を出した。

ウィルはしのびより、驚かせる。

子供たちはパパを驚かせようと、ソファの上にシーツをかけて隠れている。

家族団らんのときが始まる。

 

小さい娘が、窓の外の人影に怯える。

ご近所の様子も何か変だ。

地下室に若者が入り込み、追い出そうとすると、この家でお父さんが一家を皆殺しにしたという。

向かいに住むアン(ナオミ・ワッツ)も、「その犯人は仮釈放されて、町の精神病院に収容されている」と言う。

 

もうここからは一言も言えません。

でも、ある時点から、物語は一転します。

その時のダニエル・クレイグの一線を画した演技が素晴らしい。

とまどいながらも、真実に向かっていく姿、感動ものです。

 

これ、ホラーですよね。

ラスト泣いてしまいました。

いいよー。

 この作品こそ、ダニエルの真骨頂ではないでしょうか?

 

この作品、2011年の作品なのに、いまごろ公開なんですね。

しかも、この作品でダニエルとレイチェルは結婚したそうな。

なるほど!!

二人が愛し合っている感じが、よーくわかりました。

子供たちも最高に可愛い。

いい映画でした。

オススメです。

 


それでも、愛してる

2012-12-16 15:37:49 | 映画ーDVD

ーそれでも、愛してるーTHE BEAVER

2009年 アメリカ

ジョディ・フォスター監督 メル・ギブソン(ウォルター・ブラック)ジョディ・フォスター(メレディス・ブラック)アントン・イェルチン(ポーター・ブラック)ライリー・トーマス・スチュワート(ヘンリー・ブラック)ジェニファー・ローレンス(ノラ)チェリー・ジョーンズ(副社長)

 

【解説】

ジョディ・フォスターが『ホーム・フォー・ザ・ホリデイ』以来となる監督を務め、うつ病で苦しむ会社経営者の夫とその家族のきずなを感動的に描いたヒューマン・ドラマ。『マッドマックス』などでタフなイメージのあるメル・ギブソンがビーバーの縫いぐるみを介して会話するデリケートな夫を演じ、妻役のジョディと共演。『ターミネーター4』のアントン・イェルチン、『ハンガー・ゲーム』のジェニファー・ローレンスといった、注目の俳優も出演する。うつ病の苦しみや、家族だからこその擦れ違いをリアルにつづるジョディの演出手腕が見事。

 

【あらすじ】

玩具会社の2代目として会社を率い、結婚20年になる妻メレディス(ジョディ・フォスター)や2人の息子と幸せな人生を送っていたウォルター・ブラック(メル・ギブソン)。ところが突然うつ病を患い、ひょんなことからビーバーの縫いぐるみに命を救われる。ウォルターは元気になったものの、それ以来、左手からビーバーを放せなくなってしまう。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

才女、ジョディ・フォスターの監督作品です。

しかも、主演がアクションスターのイメージが強いメル・ギブソンが、鬱に取り憑かれたダメ親父。

興味深いです。

 

おもちゃ会社の2代目社長で、妻と二人の息子を持つウォルター・ブラック(メル・ギブソン)が、しだいに自分をなくしていき、とうとう眠ってばかりの生活を送るようになった。

 

妻のメレディス(ジョディ・フォスター)は、ウォルターに家を出て行くよう言った。

とてもこのままでは一緒にいられないと。

 

ウォルターは、モーテルに移り、自殺しようと試みた。

でも、失敗。

ひょんなことで腕に拾ったビーバーのぬいぐるみがハマり、本音を語り始めた。

原題は「THE BEAVER」。

ビーバーを通じててはあるが、本音が語れるようになったウォルター。

家族の元へ帰ってくる。

 

メレディスは戸惑いながらも夫の回復を喜ぶ。

次男のヘンリー(ライリー・トーマス・スチュワート)は大喜びだが、もともと父親に懐疑的だった長男のポーター(アントン・イェルチン)には、ますます受け入れがたいことだった。

 

会社に戻っても、アイデアが当たり、大ヒット商品を生み出す。

マスコミにも積極的に出演して、絶好調に見えたウォルターだが、だんだんビーバーに支配されるようになり、人格が引き裂かれていった。

いよいよ自分の人格がなくなってしまうという危機感を持ったウオルターは、思いがけない行動に出るー。

 

ビーバーはただの人形のはずなのに、その表情がどんどん怖く見えてきます。

自分を乗っ取られると言うウォルターの恐怖がひしひしと伝わってきます。

このへんは、とてもリアルで良かったと思いました。

 

でも、ビーバーを切り離して自分が変わったという結末は、ちょっと安易かなあと思います。

とても衝撃的で、意志を持った行動でしたが、鬱はそんなふうには治らないと思いました。

家族が寄り添い、地獄を脱出したという結末でしたが、鵜呑みにはできないという疑問が残りました。

 

宇宙兄弟

2012-12-16 15:06:26 | 映画ーDVD

ー宇宙兄弟ー

2012年 日本

監督=森義隆 キャスト=小栗旬(南波六太)岡田将生(南波日々人)麻生久美子(伊東せりか)濱田岳(古谷やすし)新井浩文(溝口大和)井上芳雄(真壁ケンジ)森下愛子(南波・母)益岡徹(南波・父)堀内敬子(権田原さくら)中島凱斗(ヒビト(子ども時代))吹越満(鶴見徹太郎)塩見三省(福田直人)堤真一(星加正)

 

【解説】

週刊「モーニング」で連載中の小山宙哉によるベストセラー・コミックを、人気若手俳優・小栗旬と岡田将生を主演に迎えて実写映画化。幼いころに宇宙飛行士になる約束を交わした兄弟が、異なった人生を進みながらも互いに宇宙を目指して奮闘する姿を壮大なスケールで描く。監督は『ひゃくはち』の森義隆、脚本を『デトロイト・メタル・シティ』の大森美香が担当。そのほか麻生久美子、堤真一、井上芳雄ら多彩な顔ぶれが脇を固める。世界的ロックバンド、コールドプレイが主題歌として楽曲を提供していることも見逃せない。

 

【あらすじ】

子ども時代に、宇宙飛行士になることを誓い合った兄弟ムッタとヒビト。時は過ぎて2025年、弟ヒビト(岡田将生)が夢をかなえて宇宙飛行士となった一方、兄ムッタ(小栗旬)は会社を解雇され意気消沈していた。互いに違った道を進んでいた兄弟だったが、弟からの連絡をきっかけに兄はかつての夢を実現させるべく再び宇宙飛行士という目標に向かって進み始める。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

この作品、漫画が原作です。

実は、うちの次男がこの漫画の大ファンで、結構早くから私に熱く語ってくれていました。

全く無視していましたが、こんなに評判の作品だったのですね。

 

そう思ってみたせいか、冒頭のシーンでヒビト(岡田将生)が月への思いを熱く語るシーン、うちの次男と重なってしまいました。

岡田将生ファンの皆さん、ごめんなさい。

親ばかですが、うちの次男が高校生時代、ソフトモヒカンで髪を黄色くしていた頃によく似ていました。うっとりー。

 

幼い頃から、近所の空き地で自然観察に夢中だったムッタ(小栗旬)とヒビトの兄弟。

ある日、二人はUFOを目撃した。

明るく光るUFOは、不思議な動きをしたあと、ビューンと月へ向かっていった。

唖然としてみていた兄弟、ここで二人の将来の夢は宇宙飛行士になって、月に行くことと決まった。

 

その目標に向かって、ヒビトは日々精進、まっしぐらに進んでいったが、ムッタの方は複雑だった。

「UFOを見た」と言って、クラスの友達からバカにされて、心が傷ついてしまった。

その後、カーデザイナーとなったムッタだったが、ヒビトが月へ行く飛行士に選ばれたその記者会見をバカにした上司をぶっ飛ばし、会社をクビになった。

 

そこへ、JAXAから宇宙飛行士の書類審査に受かったという知らせが。

ヒビトが応募していたものだった。

 

ヒビトが月にいくのを見送るために、NASAへ向かったムッタ。

打ち上げのその時、アポロ11号の乗組員だったバズ・オルドリン氏その人に会う。

彼から言われた言葉、「ロケットが打ち上げられるのは、宇宙飛行士とそれを支える多くの人々の熱意だ」に心を動かされる。

 

宇宙飛行士に挑戦する決心をしたムッタ。

持ち前の明るい発想力で厳しい道を乗り越えていく。

 

ところが、月に降り立ち夢を叶えたヒビトに、過酷な運命が待っていたー。

 

兄弟の月や宇宙への熱意がわかりやすくて良かったです。

弟と同じくらいの情熱を宇宙に対して抱いていたのに、対照的な生き方になってしまって、弟を追いかける形になったムッタの心情がとてもよく現れていました。

小栗旬君、うまいねえ。

 

純粋な兄弟の思いが、今の世の中に新鮮でした。

肉親同士の諍いが増えているものねえ。

せめて兄弟は仲良くしましょう。

さわやかないい映画でした。

 

007スカイフォール

2012-12-14 14:14:43 | 映画ー劇場鑑賞

007スカイフォールーSKYFALL

2012年 イギリス/アメリカ

サム・メンデス監督 ダニエル・クレイグ(ジェームズ・ボンド)ハビエル・バルデム(ラウル・シルヴァ(ティアゴ・ロドリゲス))レイフ・ファインズ(ギャレス・マロリー)ナオミ・ハリス(イヴ)ベレニス・マーロウ(セヴリン)アルバート・フィニー(キンケイド)ベン・ウィショー(Q)ジュディ・デンチ(M)ロリー・キニア(タナー)オーラ・ラパス(パトリス)

 

【解説】

007のコードネームを持つイギリスの敏腕諜報(ちょうほう)員、ジェームズ・ボンドの活躍を描くスパイ・アクションのシリーズ第23弾。上司Mとの信頼が揺らぐ事態が発生する中、世界的ネットワークを誇る悪の犯罪組織とボンドが壮絶な戦いを繰り広げる。『007/カジノ・ロワイヤル』からボンドを演じるダニエル・クレイグが続投。監督に『アメリカン・ビューティー』のサム・メンデス、共演には『ノーカントリー』のハビエル・バルデム、『シンドラーのリスト』のレイフ・ファインズら、そうそうたるメンバーが結集。イスタンブールをはじめ世界各地でロケが行われた美しい映像も見もの。

 

【あらすじ】

MI6のエージェントのジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)は、NATOの諜報(ちょうほう)部員の情報が記録されているハードドライブを強奪した敵のアジトを特定し、トルコのイスタンブールに降り立つ。その組織をあと少しのところまで追い詰めるも、同僚のロンソンが傷を負ってしまう。上司のM(ジュディ・デンチ)からは、敵の追跡を最優先にとの指令が入り、後から駆け付けたアシスタントエージェントのイヴ(ナオミ・ハリス)と共に、敵を追跡するボンドだったが……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

ジェームズ・ボンド役がダニエル・クレイグに変わって3作目です。

ロンドンオリンピックでは、ジェームズ・ボンドが女王をエスコートするという、思いもかけない演出で、しかもバッキンガム宮殿からヘリコプターに乗って競技場へ飛び降りるという驚きに満ちたものでした。

その映像のあとにエリザベス女王がロイヤルボックスに登場されて、感動したし、楽しかったですね。

 

1作目の「カジノロワイヤル」では、若いスパイのボンドが仲間のヴェスパーに恋をして、裏切られ、彼女を失うと言う内容でした。

次作007慰めの報酬」では、ヴェスパーの恨みを抱きながら、国際社会の浦港像を暴くという内容で、最後はヴェスパーを騙した二重スパイに報復することができました。

ヴェスパーの面影を胸の奥深くにしまい込んだボンド、今回の作品は心も新たに、ジェームズ・ボンドの活躍が見られるのでしょう。

 

と思っていたら、オープニングでボンド(ダニエル・クレイグ)は列車から味方の狙撃の誤りで、深い川に落ちていきます。

アデルの歌う「スカイフォール」。

いいオープニングテーマです。

映像も素晴らしい。

わくわく!!

 

なかなか死なないボンド。

あのあと、MI6に連絡も取らず、南の島で静養中。

そもそも、自分だけで敵が奪ったHDを奪い返せると信じていたのに、M(ジュディ・デンチ)が、イブ(ナオミ・ハリス)に狙撃を命じたことに腹を立てていた。

  M

しかし、奪われたHDにはNATO所属の諜報部員の情報が入っていて、奪った犯人はそれを公表していくと脅し、5人の諜報部員の情報がインターネット状で流された。

Mは情報安全委員会議長のマロニー(レイフ・ファインズ)に引退を勧告される。

そして、Mのパソコンはハッキングされ、犯行予告が届き、本部に戻るMの目の前で、本部が爆破され職員が犠牲となった。

 

このニュースを見たボンドはロンドンへ戻り、スパイの検査を受け(結果は不合格だったけど、Mが特別に合格にした)、再び任務を負って上海へ向かった。

上海で、HDを奪った犯人を突き止めたが、死亡させてしまう。

カジノでその犯人を知る美女セヴリン(ベレニス・マーロウ)と会い、彼女の雇い主のいる島へ向かう。

 

島にいたのはシルヴァ(ハビエル・バルデム)。

もと、MI6の諜報員をしていた男だった。

  シルヴァ

セヴリンは殺されるが、ボンドはイギリス軍を呼びシルヴァを捕まえた。

この撮影が行われたのは、日本の長崎県の軍艦島だそうですね。

 

シルヴァは、有能な諜報員だったが、中国でハッキング中に捕まり、当然救われると思っていたのに、他の捕虜を解放する条件にシルヴァは見捨てられ、5日間の拷問の末、自殺使用し毒を噛んだが、死にきれず、それ以来Mを恨み、復讐を計画したいた。

 

シルヴァは周到な罠を仕掛け、ボンドはMを連れて、あのアストンマーチンで逃れ、自分の生まれ故郷である屋敷スカイフォールに連れて行き、シルヴァを迎え撃つ準備を始めた。

 

ここから先は、言えません。

 

今回は、ボンドの過去や生育歴が語られ、Mとの信頼関係の厚さ、絆の深さが語られます。

南の島でしょげているボンドはお母さんに反抗している子供のようだし、Mの信頼を取り戻してからの彼は、いろんな感覚が鈍っているにも関わらず、母の期待に応えようと頑張る子供のようでした。

 

そして、女王様に忠誠を誓う騎士のように、Mを抱きかかえながらMに誉めてもらった彼は、ようやく1人前のスパイと成長した姿なのかなあ、と思いました。

 

それと対比して描かれるのが悪人シルヴァですが、ハビエル・バルデムといえば、「ノーカントリー」の殺し屋役の方がずっと恐ろしかったです。

 

この作品は、「ダークナイト」を意識したと言われているけど、それほど怖くはなかったです。

タークナイトは架空の設定で、どんなふうにも誇張していけるけど、007はあくまてせ現実ベースなので、そこで勝負したら負けるでしょうね。

内容もMへの個人的な恨みだし、007のテーマらしくないなあと思いました。

 

もう少しこのシリーズは、軽妙洒脱な感じにならないかなあ。

次回は、人心一新だし、クレイグがどんなボンドに成長していくか、楽しみです。

 

個人的にはQを演じたベン・ウィショーが気になります。

  Q


カンパニーメン

2012-12-14 12:26:50 | 映画ーDVD

ーカンパニーメンーTHE COMPANY MEN

2010年 アメリカ

ジョン・ウェルズ監督 ベン・アフレック(ボビー・ウォーカー)クリス・クーパー(フィル・ウッドワード)ケヴィン・コスナー(ジャック・ドーラン)マリア・ベロ(サリー・ウィルコックス)ローズマリー・デウィット(マギー・ウォーカー)クレイグ・T・ネルソン(ジェームズ・サリンジャー)トミー・リー・ジョーンズ(ジーン・マクラリー)

 

【解説】

解説:リーマン・ショック後の不景気により、会社をリストラされたエリート・ビジネスマンたちの悪戦苦闘を描いた社会派ドラマ。リストラを機に自身の生き方を見つめ直す主人公にふんしたベン・アフレックをはじめ、トミー・リー・ジョーンズ、クリス・クーパー、ケヴィン・コスナーという4人のオスカー受賞者が豪華競演。監督は、テレビドラマ「ER 緊急救命室」「ザ・ホワイトハウス」シリーズのジョン・ウェルズが手掛け、人生の再建に苦戦する男たちの心情をリアルに描き出す。

 

【あらすじ】

ボストンに本社を構える総合企業の販売部長として必死に働いてきたボビー(ベン・アフレック)は、ある日突然リストラを宣告される。すぐに再就職できると考えていたボビーだったが、現実は想像以上に厳しく解雇手当は底をつき、車も家も手放すことに。そんな中、工務店を営む義兄のもとで大工として働き始めた彼は、自身の生き方を見つめ直していく。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

いきなり告げられる馘首。

リーマンショックがアメリカの経済に与えた影響って、こんなにひどかったのかしら?

 

ボストンに本社を構える大企業が、赤字の造船部門を鉄道部門と統合し、大規模なリストラを敢行した。

販売部長としてボビー(ベン・アフレック)は、ある日突然リストラを宣告される。

自分を優秀だと信じるボビーは、すぐに再就職できると思っていたが、同じレベルの就職は、とても難しい。

妻の兄ジャック(ケヴィン・コスナー)は内装業をやっていて、ボビーは少し軽く見ていたのだが、背に腹は変えられず、仕事が見つかるまで内装の仕事を手伝うことにした。

それとて、簡単な仕事ではない。

 

溶接工から重役へ上り詰めたフィル(クリス・クーパー)もリストラを宣告された。

定年間際の馘首で、潰しが利かず焦燥感を露わにし、ついには悲劇が!

 

会社創立時からの功労者ジーン(トミー・リー・ジョーンズ)は、首を言い渡す役職のサリー(マリア・ベロ)と愛人関係にあった。

CEOの非常な方針に抵抗し続けるが、自らも馘首され、妻と豪邸を捨ててサリーのアパートへ転がり込む。

 

株価維持のため、自分の給料は絶対下げないCEOの身勝手さ。

そして、どんなエリート社員も会社から外れてしまえばただの人。

現実社会の厳しさ。

自分自身の価値観もなかなか変えられないもどかしさ。

 

結局は、ボビーはジーンともの作りの会社を始めるというところで物語は終わりますが、現実にはそううまくはいかないのだろうなあと思いました。

この辺がアメリカ映画らしい感じでした。

 

日本でも、こういうことがバブル崩壊以降、日常的に行われているのでしょう。

ボビーはよい家族に恵まれ、支えてもらいましたが、お父さんの失業とともに家族が崩壊してしまう場合もあるでしょう。

 

陰気な映画じゃないけど、心が暗くなる映画でした。

 


ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン

2012-12-14 11:56:28 | 映画ーDVD

ーブライズメイズ史上最悪のウェディングプランーBRIDESMAIDS

2011年 アメリカ

ポール・フェイグ監督 クリステン・ウィグ(アニー)マーヤ・ルドルフ(リリアン)ローズ・バーン(ヘレン)ウェンディ・マクレンドン=コーヴィ(リタ)エリー・ケンパー(ベッカ)メリッサ・マッカーシー(メーガン)クリス・オダウド(ローズ巡査)

 

【解説】

『宇宙人ポール』などで注目のクリステン・ウィグが主演と脚本を努め、第84回アカデミー賞脚本賞にノミネートされたコメディー・ドラマ。公私ともにがけっぷち状態にある30代独身女性が、結婚を控えた親友から花嫁介添人たちのまとめ役を引き受けたのを機に大騒動を巻き起こす。本作でアカデミー賞助演女優賞候補となったテレビドラマ「ギルモア・ガールズ」のメリッサ・マッカーシーや『インシディアス』のローズ・バーンら、実力派女優がワケありクセありな介添人にふんして笑いを誘う。妙齢の女性が抱える本音がさく裂するセリフや描写にもクスリとしてしまう。

 

【あらすじ】

ケーキ屋の経営に失敗した上に恋人に捨てられ、人生どん底のアニー(クリステン・ウィグ)。幼なじみの親友リリアン(マーヤ・ルドルフ)を心のよりどころにしていたが、彼女から婚約したと告げられ、花嫁介添人をまとめるメイド・オブ・オナーを頼まれる。喜びと寂しさを抱えながらまとめ役を務めるアニーだが、介添人の一人であるヘレン(ローズ・バーン)と事あるごとに衝突、さらには一行をブラジル料理で食中毒にさせてしまったり、パーティーへと向かう飛行機で泥酔して搭乗を拒否されたりと、トラブルばかりを引き起こしてしまう。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

「ハングオーバー」と比較されるこのおバカ映画。

下品、お下劣とあまりの評判なのに、劇場公開を見逃してしまって…。

とても見たかった作品。

 

確かに、かなりひどい内容です。

とくに言葉が汚い。

アメリカ人て、こんなに日常に汚い言葉を使っているんだろうか?

コメディを見るたびに思うこと。

 

日本ではなじみのない風習、ブライドメイズ。

こんなふうに、みんなが初対面ということもあるのね。

趣味も価値観も違って、大変そうです。

 

ケーキ屋の経営に失敗した上に恋人に捨てられ、セックスフレンドに軽くあしらわれて人生どん底のアニー(クリステン・ウィグ)。

同じ境遇だと思っていた親友のリリアン(マーヤ・ルドルフ)がお金持ちの恋人にプロポースされたことで、とても複雑な気持ちに。

おまけに花嫁介添人をまとめるメイド・オブ・オナーを頼まれる。

そこには、個性豊かなさまざま女性が集まっていて、アニーの神経を逆撫でする。

とうとうぶち切れて、リリアンとも絶交してしまったアニー。

転機は、思いがけないところから、新しい恋とともに開けてきた!

 

まず、自分たちで親友の結婚式を盛り上げてあげようというブライズメイズという風習が続けられているのかすごいなあ。

日本では、コーディネーターがお金をもらってする仕事になりつつありますね。

そもそも、日本では家族や職場中心の結婚式が多いので、結婚式に至るさまざまなイベントを企画して親友を盛り上げてあげるという発想もないですね。

かろうじて、結婚式の二次会くらいかな?

 

それにしても、何日も企画して、旅行やシャワーパーティーや本番やって、考えただけでも大変そう。

無職のアニーにはどんなに負担なことかと思いました。

 

でも、捨てる神あれば拾う神ありのストーリー。

笑って泣けて、アニーの将来にも希望が持てて、いいエンディングでした。

今日が人生最低最悪の日でも、きっと、いろんな人が支えてくれる、勇気を持って前を向いて歩こうと、この作品は背中を押してくれるかもしれませんね。

 

でも、お下品なのは覚悟してみてくださいね。

かなりですよ。

 

恋のロンドン協奏曲

2012-12-11 09:56:27 | 映画ー劇場鑑賞

ー恋のロンドン協奏曲ーYOU WILL MEET A TALL DARK STRANGER

2010年 アメリカ/スペイン

ウディ・アレン監督 アントニオ・バンデラス(グレッグ)ロジャー・アシュトン=グリフィス(ジョナサン)ジョシュ・ブローリン(ロイ)ポーリーン・コリンズ(クリスタル)アンソニー・ホプキンス(アルフィ)ジェマ・ジョーンズ(ヘレナ)フリーダ・ピント(ディア)ルーシー・パンチ(シャーメイン)ナオミ・ワッツ(サリー)

 

【解説】

『ミッドナイト・イン・パリ』が世界中で成功を収めたウディ・アレン監督が、ロンドンを舞台に描く狂乱のラブコメディー。離婚した老夫婦と、危機的状況にあるその娘夫婦の2組のカップルを軸に、いい大人たちが恋の幻想に振り回される様子をユーモアたっぷりに描き出す。主要キャストはアンソニー・ホプキンス、ナオミ・ワッツにジョシュ・ブローリンら名優ぞろい。年がいもなく恋に溺れる彼らの愛らしい姿が共感を呼ぶ。

 

【あらすじ】

アルフィ(アンソニー・ホプキンス)とヘレナ(ジェマ・ジョーンズ)は長年連れ添ってきたが、結婚40年目にして破局を迎える。あまりのことにひどく動揺したヘレナは自殺未遂を起こし、一人娘サリー(ナオミ・ワッツ)は困惑する。だが、実は彼女自身も売れない小説家の夫ロイ(ジョシュ・ブローリン)との間に問題を抱えており……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

「ミッドナイト・イン・パリ」では、ロマンティックな一面を見せてくれたウディ・アレン監督ですが、この作品では本来のシニカルな面が見事に表現されていました。

でもこの感じ、悪くなかったですよ。

芸達者な役者さんぞろいで、一筋縄ではいかない人生を群像にして見せてくれました。

オススメ!!

私は「ミッドナイト~」の方が好きですけどね。

  ヘレナ(右)と娘のサリー

まず紹介されるのが、ヘレナ(ジェマ・ジョーンズ)。

最近、長年連れ添った夫アルフィ(アンソニー・ホプキンス)から、離婚話を持ち出され、泣く泣く別れたばかり。

アルフィは、若い女性と再婚して、男の子が欲しいそうな。

二人は、最愛の息子を亡くしていた。

  ヘレナの夫アルフィ

人生に希望を失ったヘレナは酒に溺れているが、ある占い師のところに通うようになって、少しは元気を取り戻した。

でも、いちいち占い師にお伺いを立てて、言うことがうざいわー。

神経が逆なでされます。

 

この二人の娘サリー(ナオミ・ワッツ)は、作家のロイ(ジョシュ・ブローリン)と結婚しているが、ロイは1作売れただけで、あとは行き詰っている。

家計は火の車、母に家賃を出してもらっている始末。

子供が欲しいサリーは口うるさくお金の愚痴を言い、夫婦喧嘩が絶えない。

それでも夢ばかり追っている夫を諦め、しかたなく、サリーも画廊に就職した。

 

ロイは、サリーとの生活にうんざりしていて、ロイの部屋から見えるお部屋に住んでいる若い娘ディア(フリーダ・ピント)に興味を持つ。

デイァには婚約者がいるけれど、ランチに誘ってみる。

  

アルフィにも恋人ができた。

モデルと言えば聞こえがいいけど、ほとんど娼婦のような女シャーメイン(ルーシー・パンチ)。

マンションを買ってやり、高い買い物も許して、結婚し、子供を産んでもらおうとするのだが。

  アルフィの新しい妻シャーメイン

☆ネタバレ

それぞれの顛末が皮肉が利いていておかしい。

人の不幸は蜜の味というやつですね。

まあ、アルフィの場合、糟糠の妻、しかも子供を亡くしたという共通の悲劇を抱えているのに、捨ててしまうなんてひどい男です。

こんな人は、幸せになれるわけがない。

 

ヘレナは占いからスピリチュアルな方面へと興味が移っていって、ジョナサン(ロジャー・アシュトン=グリフィス)という妻を亡くしてその亡霊にでも会いたいという男と近づいていくのですが、彼女が一番幸せに近そうなラストでした。

これも、皮肉です。

 

サリーは、画廊のオーナー(アントニオ・バンデラス)が、夫婦仲がうまくいっていないことを知り、接近したいと願うのですが、親友のアーティストに油揚をさらわれる形で、振られてしまいます。

でも、友達から画廊の独立話があり、これからは仕事一筋かな?

  画廊のオーナー、グレッグ

そして、一番の悲劇はロイです。

ロイはディアをトリコにして、婚約を解消させてしまいます。

ディアの周りは大騒動。

婚約者の家族はかんかんだし、ディアの両親はインド出身で格式張っていたから、メンツを潰されて途方に暮れています。

  ロイとディア

しかも、ロイには仕事も金もない。

そこへ降って沸いた友達の交通事故で亡くなったという知らせ。

その友達は、ロイもうらやむような小説を書いていて、その原稿はロイが預かっていて、ロイしか知らないのです。

ロイは、自分が書いたように出版社に持ち込み、発行する運びとなりました。

ところが、死んだと聞いた友達は聞き間違いで、植物状態ですが、生きていたのです。

そのうえ、回復の兆しが…。

 

ロイは自業自得ですが、貧乏くじを引いたのはディアですよね。

男の見極め、女性にはこれが大事です。

逆もまた、真なりですが、ヘレナもサリーも見誤ったわけです…。

 

ロイみたいな、才能や能力は人並みにあるのに、見場や見栄のために無駄にしている男っているよね。

結局、見た目が良かったり、人当たりがよかったりするものだから、若いうちは努力しないでもうまく回っていくのでしょう。

でも、「ありときりぎりす」の話と一緒、冬の時代が来たら、中身が何にもないものだから、たちまち馬脚を現してしまう。

 

そんな男に出会った女性は、大変だよねー。

ーというお話かしら?

面白かったです。

 


中村勘三郎さんありがとう

2012-12-10 15:46:42 | Weblog

ー中村勘三郎さんありがとうー

平成24年12月5日未明、歌舞伎役者の中村勘三郎さんが、急性呼吸窮迫症候群などで、ご逝去されました。

私のような下世話なおばちゃんまで、虜にした歌舞伎役者。

57歳。早過ぎる幕切れ。

まだまだ、面白い舞台を見せていただけると信じていただけに、ショックでした。

 

先日、9月18日に松竹座で行われた「中村勘九郎襲名公演」でも、出演者の皆さんがどことなく元気が無かったのが気がかりでした。

「でも、まさか!!」とわき上がる不安な予感を必死で打ち消していました。

しかし、訃報を聞く日はやってきました。

 

この日から、勘三郎さんの偉業を伝える追悼番組が続々と放送されています。

聞くのも見るのも辛い気持ちです。

そこには、病気など連想もさせない、元気な勘三郎さんのお姿が映し出されているからです。

でも、現実には彼はもういない。

その事実が、辛く悲しい気持ちにさせます。

 

ブログを振り返ってみました。

吉例顔見世興行ー十八代目中村勘三郎襲名披露

2006.12.13の日記

 金比羅歌舞伎

2009.5.1の日記

金比羅歌舞伎2日目

2009.5.1の日記

 世界遺産薬師寺 奉納大歌舞伎

2010.08.03の日記

「平成中村座」十一月大歌舞伎

2010.12.05の日記

 9月松竹大歌舞伎

2011.9.14の日記

 

 私が勘三郎ファンになったのは、2002年の扇町公園での平成中村座に遡ります。

当時、江戸時代の芝居小屋を再現したと「平成中村座」が評判になっていました。

ふと興味を持って見に行って、そのときは「隅田川続悌 法界坊」を見たのですが、もうびっくりなんてものじゃない!!

私にとって、歌舞伎って勉強するものだと思っていたので、こんな面白いものが世の中にあったのかと、とても興奮してしまいました。

江戸庶民が愛した芝居がそこにあったし、それは平成の庶民にも十分愛されるものでした。

 

そこから触発されて、歌舞伎もたくさん見るようになったけど、見れば見るほど「やっぱり勘三郎さんだわ!」と確信して、最近では「勘三郎さんしかない」と思い詰めるほどでした。

 

格式高い演目でも、上方歌舞伎のような世話物でも、娘姿で踊る舞踊でさえも、勘三郎さんの個性が際立っていました。

女形でも、二枚目でも、なんでもできるし、魂がこもっているし、魅力的。

人情話では笑わせて泣かせる、藤山寛美さんの再来かとも思いました。

こんな役者さんはしばらく出て来ないと思う。

 

それなのに、神も仏もいないのかと言いたくなるようなこの訃報。

そうと知っていれば、今年は東京でも松本でもに出かけたのに…、悔しい気持ちがふつふつと沸いてきます。

 

とても悲しかったけど、考えてみれば、ほとんど同世代で、これだけの作品を見せてもらえた私は、幸せ者です。

欲を言えばきりがないけど、目を閉じたら舞台の上を汗びっしょりで熱演している勘三郎さんの姿をはっきりと思い出すことができるし、DVDも見られるし、語れる友達もいるし、それが私の至福の喜びです。

それ以上、何を望むことがあるでしょう。

 

勘三郎さん、ありがとうございました。

安らかにお眠りください。

合掌

 


テレビの映画「ミッドナイトラン」「運命の子」「ザ・ファン」

2012-12-10 14:36:06 | 映画ーTV

ーテレビの映画「ミッドナイトラン」「運命の子」「ザ・ファン」ー

先週末、テニスで遊んでいて、左膝をねじってしまいました。

たいしたことはないのに、結構痛んで安静にしていたので、WOWOWMプラスを見ていたら、いい映画がたくさんありました。

 

ーミッドナイトランーMIDNIGHT RUN

1988年 アメリカ

マーティン・ブレスト監督 ロバート・デ・ニーロ(ジャック・ウォルシュ)チャールズ・グローディン(ジョナサン・マデューカス(デューク))ヤフェット・コットー(アロンゾ・モーズリーFBI捜査官)ジョン・アシュトン(マーヴィン)デニス・ファリナ(ジミー・セラノ)ジョー・パントリアーノ(エディ)ロイス・スミス(ネルソン夫人)リチャード・フォロンジー(トミー)ロバート・ミランダ(ジョーイ)ジャック・キーホー(ジェリー)ウェンディ・フィリップス(ゲイル)ダニエル・デュクロス(デニース)フィリップ・ベイカー・ホール(シドニー)

 

【解説】

元警官のバウンティ・ハンターと、彼に捕らえられた横領犯のニューヨークからロスまでの壮絶な大陸横断アクション・コメディ道中記。横領犯を狙うギャングとFBIの追撃によるバイオレンス・シーンとC・グローディンの奇妙なキャラクターが引き起こす笑い、それにデ・ニーロの軽いフットワークの演技が心地よいアンサンブルになっており、ノンストップ・アクション全盛の当時にあっておおらかな正統娯楽活劇の造りが楽しい。(allcinema ONLINE

 

【感想】

ロバート・デ・ニーロが、自身の作品の中で「一番好き」と言っている作品だそうです。

 

汚職警官の汚名を着せられて警察を辞め、今は賞金稼ぎで生計を立てているジャック(ロバート・デ・ニーロ)

請け負った仕事は、ギャングのお金を横領した会計士デューク(チャールズ・グローディン)を、ニュヨークからL.Aまで連れて来ること。

デュークのことは、FBIもギャングの犯罪の証拠を握っていると見て重要視していたし、当のギャングはあらゆる手段を使って殺そうとしていた。

 

飛行機で飛べばすぐの距離だが、デュークは飛行機が怖いとわめき出し、二人で大陸横断するハメになるという、ロードムービー。

 

その間に明かされる、ジャックが警官を辞めたあと、離婚し、幼かった娘とも別れてしまったこと。

元妻は、自分の同僚と再婚していること。

 

デュークは、横領したお金を全額慈善団体に寄付したこと。

 

そして、ジャツクをはめた張本人こそ、デュークが横領し、不正の証拠を握っているから、デュークの命を狙っているボスだということ。

 

ギャングやFBIが入り乱れる中、ボスは逮捕され、ジャックは約束通りデュークをL.Aまで連れ帰り、そこで釈放します。

 

そこでの会話が秀逸。

旅をしている間に、二人の間には友情みたいなものが芽生えたようです。

男だけがわかり合える何か、いいなあ。

余韻のある終わり方でした。

 気軽に見られる娯楽作品だけど、心に暖かいものが残る、いい作品だと思いました。

 

ー運命の子ー趙氏孤児/SACRIFICE

2010年 中国

チェン・カイコー監督 グォ・ヨウ(程嬰(ていえい))ワン・シュエチー(屠岸賈(とがんこ))ファン・ビンビン(荘姫(そうき))チャン・フォンイー(公孫(こうそん))ホァン・シャオミン(韓厥(かんけつ))ハイ・チン(程嬰の妻)ヴィンセント・チャオ(趙朔(ちょうさく))チャオ・ウェンハオ(程勃(ていぼつ)・15才)パオ・グオアン(趙盾(ちょうじゅん))ポン・ボー(晋王(霊公))

 

【解説】

『さらば、わが愛/覇王別姫(はおうべっき)』などのチェン・カイコー監督が、司馬遷の「史記」に記され、2,600年もの間語り継がれてきた物語「趙氏孤児」を映画化した感動の歴史ロマン。謀略により滅亡させられた一族の子をめぐり、苦悩と葛藤(かっとう)が入り乱れる愛憎劇が展開する。一族の遺児を引き取る主人公の医師に、『活きる』でカンヌ国際映画祭男優賞を受賞した演技派グォ・ヨウ。命と愛をテーマにした、チェン・カイコー監督ならではの作品世界が堪能できる。

 

【あらすじ】

中国・春秋時代、晋の国。敵対する武官・屠岸賈(ワン・シュエチー)の謀略により、皆殺しにされてしまった趙氏一族。そんな中、一族の子として生まれたばかりの男児が、出産に立ち会った医師・程嬰(グォ・ヨウ)に預けられる。男児を守ろうとすることで自分の子や妻を殺されてしまった程嬰は、ひそかに屠岸賈への復讐(ふくしゅう)を誓う(シネマトゥデイ)

 

【感想】

中国では有名な戯曲だそうです。

「趙氏孤児(趙家の孤児)」。

 

春秋時代の晋。

名門の趙朔を家長とする一族が、屠岸賈の謀略により、霊王暗殺の首謀者の汚名を着せられて、一族皆殺しにせよという命令が下された。

趙朔の妻の趙荘姫は身ごもっていて、彼女もお腹の子供も殺せという命令だったが、追っ手の来る前に産気づき、主治医の程嬰の手助けで男の赤ちゃんを産み落とした。

屠岸賈の命令を受けた韓厥が、趙荘姫と赤ん坊を殺そうとしたが、趙荘姫の嘆願を聞き入れて赤ん坊の命は見逃した。

趙荘姫は自害し、赤ん坊は程嬰が連れ帰った。

韓厥は屠岸賈の怒りに触れ、斬りつけられて顔に生涯消えない傷を負った。

 

程嬰にも今日生まれたばかりの息子がいて、妻がその子を抱いていた。

屠岸賈が「嬰児はすべて城に連れてこい」と言ったために、程嬰の家にも屠岸賈の軍隊が来て、趙家の赤ん坊を程嬰の子と間違って城に連れて行った。

程嬰が屋敷に戻った時妻は、我が子を抱いていたが、程嬰は「城に集めた赤ん坊以外の赤ん坊が趙家の赤ん坊ということになる!!」と驚いた。

趙家の赤ん坊を迎えにきた公孫も、誤解を恐れ、程嬰の妻と趙家の赤ん坊を連れて公孫の屋敷に向かった。

 

程嬰は城に行き、大勢の親たちと一緒に嬰児を返すように嘆願した。

刻限が来たときに、程嬰は怪しまれ、屠岸賈に尋問された。

本当のことを言わないと、100人の赤ん坊を殺すと脅され、赤ん坊は公孫の家にいると言った。

 

屠岸賈は大軍と程嬰をつれて公孫邸に乗り込み、妻と赤ん坊を見つけ出し、殺してしまった。

 

程嬰は趙家の赤ん坊に程勃という名前をつけ、我が子として育てた。

心の底に恐ろしい復讐の計画を立てていた。

 

程嬰は程勃を連れ、屠岸賈に直訴し、雇い入れてもらった。

成長するにつれ程勃は、屠岸賈を父上と呼び、武道を習って慕っていた。

屠岸賈も程勃を溺愛した。

 

時が流れても、程嬰と韓厥は、屠岸賈への復讐を計画していた。

「屠岸賈がかわいがっている子供が、趙家の赤ん坊ということを明かし、その子に復讐される」という計画。

 

やがて、真実を知った程勃は、屠岸賈と対決する。

 

前半は、殺戮場面や、子供が殺されたり、ハラハラドキドキで緊張する場面が多くて面白い。

後半は心理劇。

程勃を真ん中に、二人の父の思いが交錯する。

復讐の道具に使うつもりの程嬰はいつも暗い表情で、悪人であるはずの屠岸賈は、開けっぴろげの愛情を程勃に注ぎ、どちらが程勃のことを本当に思っているのか、見ている方は混乱してしまう。

最後の復讐の場面も、とても複雑な心境で見てしまいました。

 

こういう古典劇は、あまり理屈っぽくしない方がいいかもしれないですね。

 

ーザ・ファンーTHE FAN

1997年 アメリカ

トニー・スコット監督 ロバート・デ・ニーロ ウェズリー・スナイプス エレン・バーキン ジョン・レグイザモ ベニチオ・デル・トロ

【解説】

デ・ニーロがストーカーと化す狂信的なファンを演じるサイコ・スリラー。地元球団の大物スラッガー、ボビーの大ファンであるギルは、仕事の予定があったにも関わらず、別れた妻の元にいる息子を開幕戦に誘った。だが商談には間に合わず会社をクビになったばかりか、息子を置き去りにした事で怒った妻からは子供に近づいてはならないとの裁判所命令を受け取る。自暴自棄になるギルの唯一の心の拠り所はボビーだけだったが、彼もスランプで試合の結果はかんばしくない。彼を救おうと思い立ったギルは、その原因と思われる選手の命を奪うのだった……。(allcinema ONLINE

 

【感想】

今年の8月、自殺して亡くなったトニー・スコット監督の追悼番組でした。

トニー・スコットはリドリー・スコット監督の実弟。

 

ヤンキーズの大ファンのギル(ロバート・デ・ニーロ)。

野球選手に憧れていた少年時代。

夢に溢れていたあの時代から見ると、今の自分はナンなんだ。

偉大な父が作った刃物の会社にはいるが、現実は一介のセールスマンでしかない。

売り上げが悪いと、年下の上司に締め付けられている。

 

別れた妻には結婚間近の恋人がいて、幼い息子に会うのにも嫌がらせを言う。

息子を連れて、ヤンキーズの開幕を見にきたが、子供への責任も果たせず、仕事もしくじってしまう。

 

子供にも会えなくなり、仕事も首になってしまった。

 

残されたものは熱狂的なヤンキーズファンという自分。

そして、大好きな選手(ウェズリー・スナイプス)がヤンキーズへ移籍してきて、彼を応援するのが生き甲斐となった。

まさに、「ザ・ファン」ー贔屓の引き倒しとも言う。

ここまできたらストーカー、犯罪者。

 

デ・ニーロが演じたことで、すごい説得力を持ったけど、一線を越えたファンは不気味で怖い存在ですよね。

いまや、日常的に語られるようになったストーカーを、世の中に知らしめた作品ではないかな?

ファン心理の描写は、とてもよくできていると思いました。

 

1週間経って、膝はすっかり良くなりました。

映画を見ていると、安静が保ててよかったです。

 


私が、生きる肌

2012-12-03 14:39:58 | 映画ーDVD

ー私が、生きる肌ーLA PIEL QUE HABITO/THE SKIN I LIVE IN

2011年 スペイン

ペドロ・アルモドバル監督 アントニオ・バンデラス(ロベル・レガル)エレナ・アナヤ(ベラ・クルス)マリサ・パレデス(マリリア)ジャン・コルネット(ビセンテ)ロベルト・アラモ(セカ)ブランカ・スアレス(ノルマ)スシ・サンチェス(ビセンテの母親)

 

【解説】

『トーク・トゥ・ハー』のペドロ・アルモドバル監督が、ティエリ・ジョンケの小説「蜘蛛の微笑」を原作に放つサスペンス。亡き妻の代役を創造しようとする形成外科医と、そのゆがんだ愛情のいけにえとなってしまった者の姿を、退廃と官能が入り交じる鮮烈なタッチで活写していく。『アタメ』以来となるアルモドバル監督とタッグを組むアントニオ・バンデラスが、これまでのワイルドでセクシーなイメージを封印し、狂気に支配された形成外科医を怪演。彼によって別人にされていくヒロインにふんした『この愛のために撃て』などの注目株、エレナ・アナヤの肌と肢体を惜しげもなく披露した熱演も見ものだ。

 

【あらすじ】

最愛の妻を亡くして以来、完ぺきな肌の開発研究に打ち込む天才形成外科医のロベル(アントニオ・バンデラス)。あらゆるモラルを打ち捨ててしまった彼は、ある人物を監禁して禁断の実験に取り掛かることに。それは開発中の人工皮膚を全身にくまなく移植して、被験者を亡き妻へと作り変えてしまうことだった。着々と妻の代役を創造させていくロベルだったが、思いも寄らぬ事態が起こってしまう。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

この作品、劇場で公開されたのを見逃して、見たかった作品です。

でも、始まってすぐは、見始めたことを後悔しそうになったのですが。

 

苦手な分野、秘密の手術室とか、動物の血とか、うわあ、何が始まり、何を見せられるのだろう…、怖いなあ。

 

天才形成外科医のロベル(アントニオ・バンデラス)は、人口肌の研究に没頭していた。

彼の郊外のお城のようなお屋敷には、家政婦のマリリア(マリサ・パレデス)と、肌色のストッキングのようなボディスーツを着た患者ベラ(エレナ・アナヤ)がいた。

ロベルはベラに肌移植を施しているらしい。

 

お話が展開するのは、マリリアの息子セカ(ロベルト・アラモ)が、虎の仮装をして現れてから。

このセカは凶悪犯人で、母のマリリアを懐柔して屋敷に入り込む。

そして、ベラを見つける。

誰かに似ているらしい。

ロベルの亡くなった妻…?

 

マリリアを縛ってベラを襲いに行く。

レイプの最中に帰ってきたロベルがセカを射殺した。

 

マリリンはベラも同時に殺すべきだと思った。

 

☆ネタバレ

ロベルがセカの死体を始末しに行っている間に、マリリアはベラに「セカとロベルは、本人たちは知らないけれど、自分が生んだ父親の違う息子だ」と言う。

セカは貧しい中で犯罪者として育ち、ロベルはお屋敷のご主人の息子として育った。

奥様が子供を産めなかったからだ。

それから彼を育て、ずっと見守ってきた。

 

ところが、ある日セカが来て、ロベルの妻と駆け落ちしてしまった。

しかも、逃げる途中で自動車事故を起こし、セカは逃げ出し、妻は全身火傷を負った。

ロベルは、昼夜を問わず看病を続け、妻は一命を取り留めた。

ある時、娘が庭で歌う声を聞いて窓をあけようとしたとき、窓ガラスに映った自分の燃えカスのような姿を見て、絶望のあまり窓から身を投げて死んでしまった。

幼い娘は、母の自殺を目撃したのだ。

そして、娘も数年後、母と同じ運命を辿った。

 

その夜以来、ロベルとベラは恋人同士のように近づいて行った。

 

ここから、ロベルの回想。

ベラの正体が明かされる。

 

ベラは、ブティックを経営している女主人の一人息子ビセンテ(ジャン・コルネット)、そう、男だった。

ある日、仲間とともに富豪の結婚式に潜り込んだ。

ロベルと娘もその結婚式に出席していた。

パーティで、ロベルの娘と中庭に忍び出て、セックス寸前までいったところで、娘の精神に異常が起こった。

ビセンテは彼女を殴って気絶させると、バイクに乗って逃げ出した。

それを目撃したロベルは、気を失っている娘をみつけたが、気が付いた娘はロベルを異常に怖がり、入院しても精神は良くならず、母のように飛び降りて自殺してしまった。

 

ロベルは、娘の自殺の原因がビセンテにあると信じ込み、復讐を開始した。

彼を誘拐して地下に閉じ込め、秘密の手術をして女性器を作った。

それから、妻のために研究した生きている肌をビセンテに移植を続け、いまのような、妻そっくりの女性の形をしたベラを作り上げたのだった。

 

中身はビセンテなのに、見た目が妻そっくりのベラにのめり込んでいくロベル。

ついには、ベラに裏切られ、殺されてしまう。

マリリアも殺して、屋敷を出て、実家に戻ったビセンテ。

彼(彼女)は、これからどのように生きていくのかー。

 

最後になって、マリリアの危惧がよく理解できました。

母親の勘で、ベラは危険だということがわかっていたのでしょう。

でも、ロベルは狂気的な愛情に支配されて、何も見えなくなっていた。

 

とても異常な状況なのに、なぜか興味を持って最後まで見てしまいました。

とても過激な内容なのに、目を覆うシーンはありませんでした。

ラストも、ちゃんと腑に落ちるもので、意義はありません。

ビセンテの過ちとしては、その償いはひど過ぎると思えたから。

 

異常者とその愛を扱った作品。

バンデラスの静かな演技も良かった。

冷静な異常者って怖いわあ。

計算され尽くしたかのような、余裕のアブノーマル。

切実なんだけど、どことなくユーモラス。

セットや衣装がとてもおしゃれ。

やるなあ、アルモドバル監督。

ついていけない作品も多かったけど、これは、なんかよかったなあ。

たぶん、テーマが「愛」だからでしょう。

マリリンが象徴する母の愛。

ロベルが、その内面で育て過ぎた妻や娘への歪んだ愛。

残酷で歪んでいるけど、どこか切ないのよね。