ー中村勘三郎さんありがとうー
平成24年12月5日未明、歌舞伎役者の中村勘三郎さんが、急性呼吸窮迫症候群などで、ご逝去されました。
私のような下世話なおばちゃんまで、虜にした歌舞伎役者。
57歳。早過ぎる幕切れ。
まだまだ、面白い舞台を見せていただけると信じていただけに、ショックでした。
先日、9月18日に松竹座で行われた「中村勘九郎襲名公演」でも、出演者の皆さんがどことなく元気が無かったのが気がかりでした。
「でも、まさか!!」とわき上がる不安な予感を必死で打ち消していました。
しかし、訃報を聞く日はやってきました。
この日から、勘三郎さんの偉業を伝える追悼番組が続々と放送されています。
聞くのも見るのも辛い気持ちです。
そこには、病気など連想もさせない、元気な勘三郎さんのお姿が映し出されているからです。
でも、現実には彼はもういない。
その事実が、辛く悲しい気持ちにさせます。
ブログを振り返ってみました。
2006.12.13の日記
2009.5.1の日記
2009.5.1の日記
2010.08.03の日記
2010.12.05の日記
2011.9.14の日記
私が勘三郎ファンになったのは、2002年の扇町公園での平成中村座に遡ります。
当時、江戸時代の芝居小屋を再現したと「平成中村座」が評判になっていました。
ふと興味を持って見に行って、そのときは「隅田川続悌 法界坊」を見たのですが、もうびっくりなんてものじゃない!!
私にとって、歌舞伎って勉強するものだと思っていたので、こんな面白いものが世の中にあったのかと、とても興奮してしまいました。
江戸庶民が愛した芝居がそこにあったし、それは平成の庶民にも十分愛されるものでした。
そこから触発されて、歌舞伎もたくさん見るようになったけど、見れば見るほど「やっぱり勘三郎さんだわ!」と確信して、最近では「勘三郎さんしかない」と思い詰めるほどでした。
格式高い演目でも、上方歌舞伎のような世話物でも、娘姿で踊る舞踊でさえも、勘三郎さんの個性が際立っていました。
女形でも、二枚目でも、なんでもできるし、魂がこもっているし、魅力的。
人情話では笑わせて泣かせる、藤山寛美さんの再来かとも思いました。
こんな役者さんはしばらく出て来ないと思う。
それなのに、神も仏もいないのかと言いたくなるようなこの訃報。
そうと知っていれば、今年は東京でも松本でもに出かけたのに…、悔しい気持ちがふつふつと沸いてきます。
とても悲しかったけど、考えてみれば、ほとんど同世代で、これだけの作品を見せてもらえた私は、幸せ者です。
欲を言えばきりがないけど、目を閉じたら舞台の上を汗びっしょりで熱演している勘三郎さんの姿をはっきりと思い出すことができるし、DVDも見られるし、語れる友達もいるし、それが私の至福の喜びです。
それ以上、何を望むことがあるでしょう。
勘三郎さん、ありがとうございました。
安らかにお眠りください。
合掌
今夜もNHKBSプレミアムで映画を放映しますね。
松本で観れなかったのが残念です。
演劇分野で、いろんなカテゴリーの垣根を飛び越えた人。
失ってわかる、すごい人物だったと思います。