さくらん

ーさくらんー
2007年　日本　蜷川実花監督　安野モヨコ原作　タナダユキ脚本　椎名林檎音楽　土屋アンナ 、椎名桔平 、成宮寛貴 、木村佳乃 、菅野美穂 、永瀬正敏 、美波 、山本浩司 、遠藤憲一 、小池彩夢 、山口愛 、小泉今日子 、石橋蓮司 、夏木マリ 、市川左團次[4代目] 、安藤政信 、蜷川みほ 、近野成美 、星野晶子 、翁華栄 、津田寛治 、長塚圭史 、SABU 、丸山智己 、小栗旬 、会田誠 、庵野秀明 、忌野清志郎 、大森南朋 、ゴリ 、古厩智之 、村松利史 、渋川清彦

【解説】
本作がデビュー作となる世界的フォトグラファーの蜷川実花が、カリスマ漫画家・安野モヨコの同名コミックを映画化。華やかな江戸時代の吉原遊郭を舞台に、8歳で吉原に足を踏み入れ、やがて伝説の花魁（おいらん）となった女性の生き様を描く。主人公の花魁（おいらん）を演じるのは『下妻物語』の土屋アンナ。音楽監督を人気ミュージシャン、椎名林檎が務める。ヴィヴィットで斬新な映像世界と、女性の心情に深く迫るリアルなストーリーを堪能したい。ヒロインの先輩花魁（おいらん）を演じた木村佳乃と菅野美穂の大胆な濡れ場も必見。

【あらすじ】
8歳で吉原遊郭の玉菊屋に連れて来られた少女・きよ葉は何度も脱走を図るがあえなく失敗。気位が高く、絶世の美しさと知性を兼ね備えた完璧な高級花魁（おいらん）・粧ひ（菅野美穂）は、そんなきよ葉に花魁（おいらん）としての生き方を教える。やがて17歳になったきよ葉（土屋アンナ）は、玉菊屋にやって来た青年・惣次郎（成宮寛貴）と恋に落ちるが……。 （シネマトゥデイ）

【感想】
蜷川実花監督初作品。
なんと幸せなデビューでしょう。
ソフィア・コッポラとよく比較されると聞きましたが、私もつい「マリー・アッンワネット」と比べてしまいました。
でも、蜷川さんはこれが初作品、ソフィアは「ロスト・イン・トランスレーション」でアカデミー賞の脚本賞も取っているし、あの作品が最初ではないので、同じラインで比べるのは酷だと思いました。

というのも、この作品でやりたいことが満杯で、ストーリーや映画の展開というより、得意の映像の美しさという点に力点が偏ったと思えたからです。

タナダユキの脚本は、日本には珍しい、女性側からのエロスという立場から花魁を描こうという意欲が感じられて好感が持てました。

衣装やセットも素晴らしかった。
花魁道中のゼブラ柄みたいな帯はどうなの?と思いましたが、歌舞伎の伝統的なものばかりではない、なかなか斬新でセンスのいい着物でした。

お花もすごかった。
前衛的で、挑戦的なものばかりでした。

でも、金魚のカットが何度も使われていたところとか、途中で結末が読めてからが長かった。

たしかに、菅野美穂や木村佳乃の体当たりの濡れ場には驚きました。
がんばっていましたよ。
夫が「女優さんはスレンダーで美しい」と感嘆していました。
でも、観客に頑張っていると思われるのは、あまりいいことではないですよね。

木村佳乃の花魁高雄が死ぬシーン、まるでスプラッター映画じゃない?
笑ってしまった人がいても不思議じゃないと思いました。
私と夫はしらけました。

土屋アンナを主人公の花魁にしたのは、少し説得力に欠けるのでは?
彼女を武家の奥方にというのは、ちょっと無理があると思いました。
なにより、ルックスが違うでしょ?

椎名林檎の曲も、いいんだけど、奇をてらうというか、ちょっとわざとらしかったなあ。
これは、編集に問題があると思うのよね。
もっと自然にできないのかなあ。

そういう違和感こそがこの作品の醍醐味だと、作り手は言うかもしれませんが。

次回作品に期待したいです。