ースケアクロウーSCARECROW
1973年 アメリカ
ジェリー・シャッツバーグ監督 ジーン・ハックマン(マックス・ミラン)アル・パチーノ(フランシス・ライオネル(ライオン)・デルブッキ)ドロシー・トリスタン(コーリー)アイリーン・ブレナン(ダーリーン)リチャード・リンチ(ジャック・ライリー)アン・ウェッジワース(フレンチー)ペネロープ・アレン(アニー)
【解説】
ホモ・セクシュアルではない、男同士の深い友情を描いたアメリカン・ニューシネマの傑作。出所したばかりのマックスは、南カリフォルニアの道路で、同じくヒッチハイクをしていたライオンと知り合う。ライオンは5年ぶりに帰ってきた船員で、自分の居ない間に生まれた子供に会うため、妻のもとに向かう途中だという。意気投合した二人は、共に行動することにしたが……。
【感想】
学生時代に名画座で見たと思います。
アル・パチーノもジーン・ハックマンも知らなかったけど、すごく感動しました。
アメリカン・ニューシネマにはまっていたときです。
見直してみました。
やはり、いい映画でした。
ふたりのアウトローが出会い、旅をするロードムービーです。
「真夜中のカウボーイ」に似ていました。
この二人の取り合わせが絶妙です。
マックス(ジーン・ハックマン)は、他人を信じず、無口で短気でけんかっ早い。
何度もケンカをしては刑務所に入れられるという人生。
お金は貯まったので、出所を契機に、ピッツバーグで新しいビジネスをしようと思っていた。
ライオン(アル・パチーノ)は船乗り。
お腹の大きい恋人を残して長い船旅に出て行ってしまった自分に、後悔していた。
生まれたであろう子供へのお土産を持って、デトロイトへと向かう途中だった。
同じ場所でヒッチハイクを試みていた二人。
ライオンが、最後のマッチをマックスのために使ったことがいたく気に入ったマックス、ライオンに共同事業を持ちかける。
デトロイトに寄ることを条件に快諾するライオン。
でこぼこコンビの誕生です。
二人は容姿も対照的ですが、人物像も対照的、考え方も対照的です。
持っている服を何枚も重ねて着て、猜疑的で人を寄せ付けず、神経質なマックス。
いつもおどけていて、軽口をたたき、人懐っこくて争いごとの嫌いなライオン。
旅を続けるうちに、お互いがお互いを必要として行く様子がひしひしと伝わってきて、観客の胸を打ちます。
ライオン「スケアクロウ(かかし)って、なんでカラスが来ないか知ってる?」
マックス「怖いと思うからだろう?」
ライオン「違うよ。あんな面白い顔して、面白いかっこうして、怖いはずがないじゃないか。あんな面白いものを立てているお百姓はきっといい人なんだろうから、畑を荒らすのは止めようと、思うんだよ」
やがて、マックスはこの話の真意を悟り、スケアクロウとなって生き方を変えていくのです。
ライオンがマックスにとってかけがえのない人間に変わって行くー人間って素晴らしいなあと思う瞬間です。
人間の弱さと、友情の大切さ、人間同士の絆の強さなど、この映画は結末を表していないんだけど、それだけに余韻が残ります。
やはり、名作でした!!