ーブローン・アパートーINCENDIARY/BLOWN APART
2008年 イギリス
シャロン・マグアイア監督 ミシェル・ウィリアムズ(若い母親)ユアン・マクレガー(ジャスパー・ブラック)マシュー・マクファディン(テレンス・ブッチャー)ニコラス・グリーヴス(レニー)
【解説】
恋人と情事を楽しんでいる最中、幼い息子と夫を爆破テロ事件で失った若い母親が、やがて衝撃の真実にたどり着くまでを描くサスペンス・ドラマ。監督は『ブリジット・ジョーンズの日記』のシャロン・マグアイア。『彼が二度愛したS』のミシェル・ウィリアムズが若い母親、『ムーラン・ルージュ』のユアン・マクレガーが恋人を演じる。等身大の女性の心のドラマと、テロにまつわるサスペンスを融合させた展開が見もの。
【あらすじ】
警察の爆弾処理班に所属する夫と4歳の息子と共に、ロンドンで平凡に暮らす若い母親(ミシェル・ウィリアムズ)。ある日、新聞記者のジャスパー(ユアン・マクレガー)に声を掛けられた彼女は、欲望のままに関係を持ってしまう。その後、二人は再び密会するが、その最中に夫と息子が爆破テロ事件に巻き込まれてしまい……。(シネマトゥデイ)
【感想】
DVDを見始めて、眠ってしまいました。
後半はとても単調なので、見直す意欲がなくなりそうでした。
でも、思い直して、じっくり見たら…、なかなか良かったと思いました。
この作品、徹底的に女性目線のテロ映画です。
公共施設を狙った自爆テロ、ヨーロッパでも恐れられている事件です。
イギリスも例外でなく、貧しくも平凡に暮らしていた女性(ミシェル・ウィリアムズ)が、夫と最愛の4歳の息子を、サッカー場での大規模な爆破事件に巻き込まれて亡くしました。
仲がいいとは言えない夫婦でした。
彼女の夫(ニコラス・グリーヴス)は爆発物処理班に勤務していて、ストレスのきつい仕事の中で、言葉も少なくしだいに夫婦仲は冷えていっていた。
一人息子との生活がすべて。
自分たちの貧しいアパートの前に建つ高級マンションの生活を想像しながらも、これが人生だと自分に言い聞かせていた。
ある夜、夫が急な仕事で呼び出された深夜、子供をお隣に頼んで、酒場に出かけた。
そこで声をかけてきたジャスパー(ユアン・マクレガー)。
新聞のゴシップ記者。
二人は行きずりに関係を持つ。
☆ネタバレ
夫と息子はアーセナルの試合に出かけた。
買い物しての帰り、ジャスパーと再会する。
ジャスパーもサッカー場へ行くと言っていたが、車で家まで送ってきて、テレビでサッカーをつけながら、情事にふける。
そこへ、テレビから爆発音。
他のチャンネルのニュースでは、サッカー場で大きな爆発が起きたと報じていた。
ジャスパーの車で現場に駆けつける彼女。
彼女もまた、爆発に巻き込まれて負傷する。
夫も子供もテロの犠牲となった。
ジャスパーは息子の形見のウサギのぬいぐるみを持って彼女を見舞うが、彼女はジャスパーを拒否する。
自分の火遊びの最中に息子が苦しんで死んだという罪悪感。
ジャスパーも、本来なら自分も巻き込まれていたという罪悪感を持っていた。
独自にこのテロ事件の情報を集め、警察が隠していた事実を掴み、彼女に知らせる。
それは、自爆テロの犯人と思われる男の家族。
彼女は、その息子に近づき、知り合いになると、親しみを感じるようになる。
そして、その少年の窮地を救い、警察の陰謀も知るが、錯乱し、幻想の中で息子とのひとときを楽しむ。
その少年に会って現実に引き戻され、幻覚の息子を追ってビルの屋上に立つが、新しい生命に気づき、自殺を思いとどまる。
この作品、監督は「ブリジット・ジョーンズの日記」のシャロン・マグアイアです。
貧しい生活に疲れているのか、ストレスの強い仕事で精神的に病んでしまった夫に、もうこの主人公の気持ちはないようでした。
だから、行きずりの男との恋に燃えたのでしょう。
でも、大切な息子を亡くした後は、夫の死さえ興味がなく、愛人の存在も眼中にないようでした。
夫の上司が言いよってきても、ただ息子の死の真実が知りたいだけ。
知ってしまったら、用なしって感じでした。
そして、自分の命より大切なものはお腹の中に宿った命。
その父親についても興味がないみたい。
でも、病院に駆けつけたジャスパーの笑顔に、この母子との幸せを託したくなりました。
ここまで徹底して男を無視する作風は、小気味よささえ感じました。
この監督さん、よっぽど男はいらん!と思っているんでしょうネ。