実践経営学講座の開設

実践経営学講座の開設  2009.10.1. 金森正臣

 いよいよカンボジア国際教育支援基金の活動が本格化した。昨年8月に基金の理事長大久保秀夫氏と初めて会ってから、わずかに一年。 大学3か所と政府機関など5か所で始まる、実践経営学講座のパイロットコースが終了し、発表会が先月25日に行われた。

 カンボジア国際教育支援基金には、3つの活動の柱がある。第一は、教員養成所の先生たちの実力アップである。第二の柱がこの実践経営学講座である。第三は、教員のレベルアップのための、教育大学院の創設。これはやや遅れて、来年ころから本格化する。第一の柱は、私が担当して、全国に6校ある中学校教員養成所、18校ある小学校教員養成所に、日本のリタイア組の先生たちに、それぞれ3人、2人ずつ入って頂き、1年から数年現地の先生のレベルアップをして頂く。すでに第一陣の先生は先月到着して、活動が始まっている。

 実践経営学講座は、カンボジアの経済復興に直接的にインパクトを与えられるように、企業家やマネージャーを育てることを目指している。失業率が高く(正確な統計さえもない)、職が少ないカンボジアで、自分たちの手で、職場を作ろうという試みである。早稲田の客員教授でゼミを持っている大久保理事長が担当し、早稲田の大江教授が実際を担当してCOBLASプログラムが始まった。従来のカンボジアの教室での講義とは異なり、実際に会社に出向いて、様々な調査を行い、改善計画を立て実際に実施してみる。コース終了後、3ヶ月間で起業計画を立て、優秀で実践的なものには、企業のための資金も与えられる。

 写真は、学生による発表風景である。学生は数人でグループを作り、調査と分析、再調査を実施してきた。現場で調べた成果は、明らかであり、ゲストたちの様々な質問に、様々な面から回答していた。現場に出て苦労して調査した結果、表や数字以上に様々な情報を学生は得ていた。カンボジアの教育で最も欠けている、全体性の把握が始まっていた。今回は期間が短いために、十分な成果ではないが、カンボジアの教育が新しい一歩を踏み出したことは、間違えない。

 カンボジアに関わってから11年。個人では考えられなかった、支援が始まった。問題点を分析し、改良すべき方法が分かって来たところで、基金の理事長とお会いし、思わぬ展開になって、猛スピードでカンボジアの支援が、展開しつつある。一年前には考えられなかった確かな改善方法が遂行できるので、忙しいが、嬉しい悲鳴である。教育は時間がかかる。猛スピードで進み始めたとは言え、成果が表れるまでには、20年程度はかかるであろう。結果は見られなくても、基礎さえ作れば、あとは自然に進むと確信している。
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