“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術ニュース●日立、物理的な行先階ボタンのない新感覚のエレベーターを実現するタッチレス操作パネルを開発

2022-09-23 09:36:03 |    電気・電子工学




 日立と日立ビルシステムは、このたび、物理的な行先階ボタンがない新感覚のエレベーターを実現するタッチレス操作パネルを開発した。

 今回開発したタッチレス操作パネルは、エレベーターの乗りかご内にある行先階ボタンを置き換えるもので、パネル(液晶ディスプレイ)上に表示された行先階に指をかざすだけの簡単な操作で行先階の登録を行うことができ、タッチレスでのエレベーター利用を可能にする。

 今回開発したタッチレス操作パネルは、2022年8月31日に竣工した東京ミッドタウン八重洲向けのエレベーターに先行的に搭載、納入している。

 ダイレクト登録画面では、行先階の数字に指をかざすことで、行先階が登録され、パネルの左側に行先階の数字が表示される。行先階を誤って登録してしまった場合には、パネルの左側に表示されている登録階の数字に一定時間指をかざすことでキャンセルすることができる。<日立製作所>

<タッチレス操作パネルの特徴>

1. パネルに指をかざすだけで、タッチレスでのエレベーター利用が可能

2. 行先階ボタンのない先進的なエレベーターデザインを実現

3. 利用者の利便性を高める画面表示
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●科学技術ニュース●東北大学、中央大学と名古屋大学、光による磁気スイッチの新たな原理を発見し超低消費電力・超高速光磁気メモリーなどの実現に期待

2022-09-23 09:35:34 |    電気・電子工学
 東北大学 大学院理学研究科の岩井 伸一郎 教授、天野 辰哉 特任研究員、大串 研也 教授、今井 良宗 准教授、若林 裕助 教授、中央大学 理工学部の米満 賢治 教授、名古屋大学 大学院工学研究科の岸田 英夫 教授らの研究グループは、量子揺らぎで各原子の電子スピンの向きが定まらない“量子スピン液体”物質において、スピンが交互に向いたまま凍結した“スピンの固体”である反強磁性体や弱強磁性体と同様に、光照射による逆ファラデー効果で磁化が生じることを発見した。

 量子スピン液体の光照射による逆ファラデー効果の大きさは典型的な反強磁性体(酸化ニッケル)の20倍にも達した。また、これまで反強磁性体などで提案されてきた機構よりも約1桁高速な磁化の制御が期待できる。

 光磁化の発生機構は、従来の反強磁性体(電子スピンの配列によって磁化が発生)とは異なり、d電子の軌道角運動量が重要な役割を果たすと考えられる。この機構ではスピンを反転する必要がないため、より高速な応答が室温近傍でも期待される。

 逆ファラデー効果は、光による磁化の発生や高速制御の原理として知られている。この効果は、次世代の光磁気メモリーなどに応用できると期待され、各国で研究が進められている。

 しかし、その対象物質は、主にスピンの方向が固定された反強磁性体や弱強磁性体などに限られおり、スピンの向きを変えるために比較的高いエネルギーが必要で、スピンの向きが変わる速度が低いことが問題であった。<科学技術振興機構(JST)>
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「狙って獲りにいく! 科研費」(中嶋亮太著/すばる舎)

2022-09-23 09:35:02 |    科学技術全般



<新刊情報>



書名:狙って獲りにいく! 科研費~採択される申請書のまとめ方~

著者:中嶋亮太

発行:すばる舎

 科研費申請は、専門外の審査委員に採点されることも多いため、わかりやすく分野外に伝える力が求められる。つまり、専門分野に向けて論文等を書いてきた頭を、申請書モードに切り替える必要がある。真面目な研究者ほどその切り替えが難しいことがあり、同書はそのような方のためものである。制作にあたっては、著者本人の申請経験だけではなく、数多くの審査委員経験者、採択経験者の声を反映している。「真面目に研究しているのに科研費は一向に通らない」「周りには聞ける人も、申請書を見せてくれる人もいない」「どの程度のテンションで自信を訴えればいいのか」などの疑問に、申請書の実例を豊富に示しながら答えていく。冒頭の概要文のインパクトの出し方、文章以上に伝えることができる図版の描き方、申請者の研究体制の盤石さの示し方などを伝え、「勝てる申請書」がどのようなものなのかを具体的に伝える。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「私たちはAIを信頼できるか」(大澤真幸、川添愛、三宅陽一郎、山本貴光、吉川浩満著/文藝春秋)

2022-09-22 09:33:38 |    人工知能(AI)



<新刊情報>



書名:私たちはAIを信頼できるか

著者:大澤真幸、川添愛、三宅陽一郎、山本貴光、吉川浩満

発行:文藝春秋

 ゲーム、言語、哲学の最新知見から、最先端の5人が集まりまった。「信頼」をテーマに、2022年の「AIと人類」の現在地に迫る。AIは世界を再構築できるか。「意味がわかる」とは何か。人間の無意識は、AIに奪われているのか。もっともわかりやすく、もっとも刺激的な、2022年のAI論。
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●科学技術ニュース●トヨタ、デンソーなど、ドライブレコーダーAI解析技術を活用した高齢者安全運転支援の実証実験を豊田市で実施

2022-09-22 09:33:09 |    人工知能(AI)
 トヨタ・モビリティ基金(TMF)、デンソー、東京海上日動火災保険、東京大学大学院新領域創成科学研究科は、高齢者の安全運転支援を目的とした実証実験を愛知県豊田市で開始する。

 ドライブレコーダーから収集した映像等をAIで分析し、安全運転のためのアドバイスを行うAI運転診断システムを活用して、高齢者の事故リスク低減を効果的に実現する方法を検証する。

 なお、同実証実験は、豊田市の交通死亡事故ゼロを目指した官民連携事業「ジコゼロ大作戦」の一環として実施するもの。

 近年、交通事故の件数は減少しているものの、75歳以上の高齢ドライバーによる死亡事故の割合は増加傾向にある。2022年5月には、高齢ドライバーの事故対策を盛り込んだ改正道路交通法が施行され、一定の違反歴のある75歳以上のドライバーには、免許更新時に「運転技能検査(実車試験)」が義務付けられた。

 今後も高齢の免許保有者は顕著な増加が見込まれるため、高齢者が事故を起こさず安全に運転するための支援・仕組みづくりが重要な社会課題となっている。

 同実証実験では、デンソーが開発を進めている、AIによる映像解析技術等を活用したAI運転診断システムを利用する。AIがドライバーの挙動から安全運転度を診断し、東京海上日動、東京大学の知見も活用しながら運転行動の改善につなげてもらう仕組みの構築を行う。

 TMFは、同実証実験を通じて得られた知見を公開、AI・データ分析技術が高齢者の移動課題解決へ活用されるよう促すとともに、産業界・学術界・医療界等との幅広い連携によって本取り組みの実効性を高めるなど、高齢ドライバーの交通安全促進に向けて積極的に取り組んでいく。<デンソー>
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●科学技術ニュース●理研、シリコン量子ビットで量子誤り訂正を実現し誤り耐性半導体量子コンピューター開発に指針

2022-09-22 09:32:34 |    情報工学
 理化学研究所(理研) 創発物性科学研究センター 量子機能システム研究グループの武田 健太 研究員、野入 亮人 基礎科学特別研究員、樽茶 清悟 グループディレクター(量子コンピュータ研究センター 半導体量子情報デバイス研究チーム チームリーダー)らの研究チームは、シリコン量子ドットデバイス中の電子スピンを用いて、3量子ビット量子誤り訂正を実証した。

 同研究成果は、シリコン半導体を用いた量子コンピューターの実現における課題の1つである量子誤り訂正の最も基本的な実装であり、今後の研究開発を加速させるものと期待できる。

 量子コンピューターはその性質上、誤りが生じやすく、実用的な量子計算を行うには、誤り訂正技術が必要と考えられている。これまでに2量子ビットまでの基本操作が実現されていたが、量子誤り訂正に必要な最低3つの量子ビットを高い精度で完全に制御することは困難であった。

 今回、同研究チームは、シリコン量子ドットデバイス中の電子スピンを用いた量子ビットを用いて、3量子ビットゲート、およびそれを用いた基本的な量子誤り訂正を実装することに世界で初めて成功した。<科学技術振興機構(JST)>
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「Pythonプログラミング ABC」(松尾 正信著/近代科学社)

2022-09-22 09:31:58 |    情報工学



<新刊情報>



書名:Pythonプログラミング ABC~正確に・美しく・簡潔に!~

監修 寺下 陽一

著者 松尾 正信

発行:近代科学社

 同書はプログラミング経験がない方やPC操作に不慣れな方でも無理なく読み進められる、Pythonプログラミングを始めるための“入門の更にその入口”となる教科書。プログラムを実際に動かしながら学んでいく構成のため、基礎がしっかりと身に付くだけでなく、米国で成功した著者直伝の実践的知識まで習得できる。応用力アップにつながる例題も豊富に掲載。同書掲載のプログラムはすべてウェブから入手できるので、講義や独習にも役立つ。Python入門者に、最初に手に取ってほしい一冊。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「AI新世」(小林亮太、篠本 滋著/文藝春秋)

2022-09-21 09:36:15 |    人工知能(AI)



<新刊情報>



書名:AI新世~人工知能と人類の行方~

監修:甘利俊一

著者:小林亮太、篠本 滋

発行:文藝春秋(文春新書)

 「人新世」の次に来る世界。それはAIが人類を変える「AI新世」だ。現時点でのAI活用のすべてがわかる。顔認証でクレジットカードは不要、客の反応も表情分析で読みあてる。ロボット×AIで、作物の「採りごろ」判定から適正な農薬散布、収穫から出荷まで支援、労働力不足の農業に革命を起こす。工場では熟練工の技術をAIが継承。売れ筋のデザイン作成、やがては人事評価まで――。私たちが気づかないうちに、AIは社会の隅々にまで入り込んでいる。「いまAIにできること」を展望するとともに、これから何が起きるのか、人類社会はどう変化していくかを克明にレポート。日本の人工知能研究のパイオニアによる監修。現代人必読の書。
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●科学技術ニュース●昭和大学と富士通Japan、電子カルテシステムの診療データから疾病を予測する診療支援AI技術開発の共同研究を開始

2022-09-21 09:35:50 |    人工知能(AI)
 昭和大学と富士通Japanは、医師の診断支援による医療水準の均てん化や診療業務の効率化を目指し、昭和大学横浜市北部病院の臨床現場において、電子カルテシステムに入力された診療データから即時に疾病を予測し、治療方針の候補などを医師に提案する診療支援AI技術の開発に向けた共同研究を2022年9月より開始する。

 同共同研究では、医療分野のデジタルトランスフォーメーション(DX)を通じた患者サービスの質の向上を目指し、主訴や患者所見などの電子カルテシステムに記載されたテキストデータと病院に蓄積された過去の診療データから総合的にデータの関連性、類似性を数値化し、疾患分類を評価する新たな診療支援AI技術を研究開発する。

 これにより迅速な鑑別診断を可能とし、診療業務の効率化を実現する。

 さらに、昭和大学の倫理審査で承諾を得た昭和大学横浜市北部病院が保有する匿名化された診療データを用いて、開発したAI技術の有効性の検証と評価を行い、同病院での本運用に加え、他の昭和大学附属病院に向けたサービス提供や研修医向け教育コンテンツへの展開など、昭和大学病院グループの診療全体への寄与を目指す。<富士通>
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●科学技術ニュース●東北大学と産総研、従来比20倍速を実現した高速な空気の流れをリアルタイム計測を実現し変化する流体に呼応するアクティブ制御に期待

2022-09-21 09:35:20 |    情報工学
 東北大学 大学院工学研究科の野々村 拓 准教授、産業技術総合研究所 省エネルギー研究部門の中井 公美 研究員(元 東北大学 特任助教)らの研究グループは、感度の高い観測点の最適な組み合わせを選択して、計測する手法「疎点解析粒子画像流速計測法(スパースプロセッシングPIV)」を実証するため、リアルタイム高速度カメラを組み込んだ風洞実験装置を製作し、従来の「粒子画像流速計測法(PIV)」では不可能であった高速な流体の流れのリアルタイム計測に成功した。

 2000ヘルツ(Hz)での流体の流れのリアルタイム計測の成功は世界初。

 空気や水などの流体の流れの速度場の計測は、現象の理解やその制御のために重要。特に流体の中でリアルタイムに何が生じているかを把握し、制御することが期待されている。流体の流速の計測によく用いられる方法として、流速の面情報が得られる粒子画像流速計測法(PIV)がある。しかし、画像解析技術を基にした計測方法のため、高速な空気の流れでは画像解析に多くの時間がとられ、リアルタイム計測ができなかった。

 この課題を解決するため、同研究グループは、2021年に「低次元モデル」と「センサー位置最適化技術」を組み入れた疎点解析粒子画像流速計測法(スパースプロセッシングPIV)を提案しているが、この度、リアルタイム高速度カメラを組み込んだ風洞実験装置を製作し、実際にリアルタイム計測が可能であることを実証した。

 この技術には汎用性があり、画像解析などを伴う解析時間がかかる計測手法に対して低次元モデルと最適化を組み合わせることで解析するデータ量を減らして処理時間を短縮できることから、流体力学にとどまらずさまざまな分野でのリアルタイム計測とそれに基づく制御が可能になると期待される。<科学技術振興機構(JST)>
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