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●科学技術ニュース●大阪大学など、機械学習により結晶粒界の熱伝導度を局所原子配列から高精度に予測

2020-05-13 09:33:43 |    化学

 ファインセラミックスセンター (JFCC) 、物質・材料研究機構 (NIMS) 、大阪大学、名古屋大学からなる研究グループ (藤井進、横井達矢、Craig A. J. Fisher、森分博紀、吉矢真人) は、計算材料科学と機械学習を併用することで、結晶粒界の熱伝導度を局所原子配列から直接的に予測するモデルの構築に成功した。

 金属・セラミックス材料のほとんどは、多数の微結晶粒から構成された多結晶体。結晶粒のあいだに存在する結晶粒界 (粒界) は、結晶内部とは原子配列が異なるために様々な性質を示すことが知られており、結果として材料全体の機械的・電気的・熱的といった多くの材料特性に影響を与える。

 この粒界と材料特性の関係を明らかにすることは、材料科学における最も挑戦的な課題の一つ。同研究では、分子動力学法という原子レベルの計算科学を用いて多様なMgOセラミックス粒界の熱伝導度を計算し、得られた結果に対して構造記述子やクラスタリング等の機械学習手法を適用することによって、粒界の原子配列から高精度に熱伝導度を予測するモデルを構築した。

 これにより熱伝導を決定する粒界近傍の局所構造が特定できることになった。この成果は、熱電変換材料や遮熱コーティング材料等の作製プロセスの最適化や高集積電子デバイスの性能向上に繋がる。

 今後、得られたモデルをより実用に近い多彩な材料や他の材料特性に適用することを目指して研究を進める。(物質・材料研究機構 <NIMS>)

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