“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「昆虫の休眠」(デビッド・L・デンリンガー著/京都大学学術出版会)

2024-07-16 09:32:55 |    生物・医学



<新刊情報>



書名:昆虫の休眠

著者:デビッド・L・デンリンガー

訳者:沼田英治、後藤慎介

発行:京都大学学術出版会

 昆虫は休眠を生活史に組み入れることで、生存に不利な季節をやり過ごし、地球上のあらゆる大陸に進出することができた。昆虫は季節をどのように検知し、それをどう利用して休眠に入り、そしてそれを終了させるのか?気候変動の影響はあるのか?保全や害虫管理への応用の可能性は?分子メカニズムから生態、進化まで、多彩な視点と絡め休眠を包括的に論じる渾身の大著。【著者】デビッド・L・デンリンガー(David L. Denlinger) 昆虫の休眠に関する世界的な研究者の1人である。アメリカ合衆国オハイオ州立大学の昆虫学の特別教授および名誉教授。アメリカ合衆国科学アカデミー会員、アメリカ合衆国昆虫学会フェロー、イギリス昆虫学会名誉フェロー。デンリンガー教授の現在の研究室では、主に昆虫の越冬に関わる分子機構を研究している。環境の信号を感知する時計遺伝子の利用から、休眠表現型の発現につながる内分泌・分子に関する事象まで、幅広い分野に関心を寄せている。これまでの研究により、チェコ科学アカデミーのグレゴール・メンデル・メダル(2006年)、南極派遣記章(2006年)、国際昆虫生理学・生態学センター(ICIPE)功労賞(2020年)など数々の賞を受賞している。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「システム外注の知識と実践がこれ1冊でしっかりわかる教科書」(青山システムコンサルティング著/技術評論社)

2024-07-16 09:32:32 |    情報工学



<新刊情報>



書名:図解即戦力 システム外注の知識と実践がこれ1冊でしっかりわかる教科書

著者:青山システムコンサルティング株式会社 

発行:技術評論社(図解即戦力シリーズ)

 2018年以降、政府主導によるDX推進ガイドラインの策定やデジタル庁の創設などを契機に、企業のIT投資が盛んに行われるようになった。また、コロナ禍以降の慢性的な人材不足の状況を鑑み、これまで主流だった基幹業務システムに加え、人的リソース不足解消のためにRPAや生成AIを組み込んだ自動化システムの開発・導入も進んでいる。同書は、企業の情報システム担当者やDXプロジェクト担当者に向けて、ITシステムを外部ベンダーに外注する際の実践的な知識を図解した書籍。企画立案から、ベンダーの選定、既存システムの問題点の洗い出し、要求定義・RFPの作成、開発工程の監視、社員教育、受入と本稼働、運用・保守まで、実際のシステム開発の工程に沿って、システム発注側が実践すべき知識をていねいに解説。
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●科学技術ニュース●JAMSTECなど、小惑星リュウグウの水に満ちた化学進化の源流と水質変成の証拠を発見

2024-07-16 09:31:50 |    宇宙・地球
 海洋研究開発機構(JAMSTEC)海洋機能利用部門 生物地球化学センターの高野 淑識上席研究員(慶應義塾大学先端生命科学研究所特任准教授)、九州大学大学院理学研究院の奈良岡 浩 教授、アメリカ航空宇宙局(NASA)のジェイソン・ドワーキン主幹研究員らの国際共同研究グループは、慶應義塾大学先端生命科学研究所、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社、北海道大学、東北大学、広島大学、名古屋大学、京都大学、東京大学大学院理学系研究科の研究者らとともに、小惑星リュウグウのサンプルに含まれる可溶性成分を抽出し、精密な化学分析を行い、水と親和性に富む有機酸群(新たに発見されたモノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、ヒドロキシ酸など)や含窒素化合物など総計84種の多種多様な化学進化の現況と水質変成の決定的な証拠を明らかにした。

 その中には、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、ピルビン酸、乳酸、メバロン酸などのほか、有機―無機複合体であるアルキル尿素分子群を含んでおり、物理因子と化学因子のみが支配する化学進化の源流が明らかになった。

 次に、二つのタッチダウンサンプリングサイトの有機物を構成する軽元素組成(炭素、窒素、水素、酸素、硫黄)および安定同位体組成、分子組成、含有量などの有機的な物質科学性状を総括した。

 同成果は、初期太陽系の化学進化の一次情報を提供するとともに、非生命的な有機分子群が最終的に生命誕生に繋がる進化の過程をどのように導いたかという大きな科学探究を理解する上で、重要な知見となる。

 小惑星リュウグウの水質変成の歴史は、同報告の親水性分子群の性状のほか、二次鉱物群や変質した岩脈の観察によっても支持される。

 これらの知見を比較検討するため、これから注目すべき調査研究として、NASA主導のOSIRIS-REx探査機による炭素質小惑星ベンヌ(Bennu)の地球帰還サンプルは重要な対象。筆者らは、国際的なサンプルリターンミッションが、非生命的な分子進化を探求する極めて重要な科学機会であると考えている。

 一方、日本でも、JAXA主導の火星衛星サンプルリターン計画「MMX」を含め、新たな太陽系物質科学の国際プロジェクトが進行している。

 同成果の鍵の一つは、元素および分子レベルの先鋭的な分析技術と先進的な物質科学の相乗効果。このような技術基盤は、領域を超えた学術界への波及に限らず、性状未知サンプルの品質検定等の社会的な要請、革新的な研究開発を生み出す新しい知識の社会還元に貢献すると考えられる。<海洋研究開発機構(JAMSTEC)>
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●科学技術ニュース●東大発の生成AIスタートアップ企業イライザ、「GPT-4」を上回る日本語性能のLLM「Llama-3-ELYZA-JP」を開発

2024-07-16 09:31:22 |    人工知能(AI)
 東大発の生成AIスタートアップ企業のイライザ(ELYZA) は、生成AI「Llama-3-ELYZA-JP」シリーズの700億パラメータのモデルで、日本語の生成能力に関するベンチマーク評価 (ELYZA Tasks 100、Japanese MT-Bench) で「GPT-4」を上回る性能を達成した。

 各モデルは Meta 社の「Llama 3」シリーズをベースに日本語で追加学習を行なったもの。

■「Llama-3-ELYZA-JP-70B」

 700億パラメータモデル。「GPT-4」を上回る日本語性能を達成。無料で利用可能なデモを用意。

■「Llama-3-ELYZA-JP-8B」

 80億パラメータと軽量ながらも「GPT-3.5 Turbo」に匹敵する日本語性能を達成。モデルを商用利用可能な形で一般公開した。

 「Llama-3-ELYZA-JP」シリーズは、Meta社の「Llama 3」シリーズをベースとした2種類の日本語大規模言語モデル(LLM)を指し、700億パラメータの「Llama-3-ELYZA-JP-70B」と80億パラメータの「Llama-3-ELYZA-JP-8B」がある。

 各モデルは、それぞれ「Meta-Llama-3-70B-Instruct」と「Meta-Llama-3-8B-Instruct」に対し、日本語における指示追従能力を拡張するための、日本語追加事前学習および事後学習を行ったもの。

 日本語の生成能力に関するベンチマーク評価 (ELYZA Tasks 100、Japanese MT-Bench) において、両モデルはいずれもベースとなる「Llama 3」シリーズから大きく日本語性能が向上している。

 特に 700億 パラメータの「Llama-3-ELYZA-JP-70B」は「GPT-4」「Claude 3 Sonnet」「Gemini 1.5 Flash」といったグローバルモデルを上回る性能を達成した。<ELYZA>
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