“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「Apple Vision Proが拓くミライの視界 スマホがなくなる日」(渡邊信彦著/幻冬舎)

2024-07-23 09:37:28 |    情報工学



<新刊情報>



書名:Apple Vision Proが拓くミライの視界 スマホがなくなる日

著者:渡邊信彦

発行:幻冬舎

 10年後のテクノロジーを誰が想像できるだろうか──。スマホに代わる次世代デバイスの開発にApple、Meta、Googleなどのビック・テックが数兆円規模の資金を投じ、今まさに、未開のマーケットを求め激しい陣取り合戦が行われている。産業革命、IT革命、そして空間コンピューティング革命。現実世界に、バーチャルの世界を投影する「空間コンピューティング」によって、人類はスマホの小さな画面から解放され、空間という無限のキャンバスを手に入れる。“リアル”メタバース業界の第一人者が語る、日本再興のための千載一遇のチャンスとは。【著者】渡邊信彦 株式会社STYLY 取締役COO 1968年、千葉県生まれ。群馬大学工学部卒業後、電通国際情報サービスに入社し、ネットバンキングやオンライントレーディングシステムの構築などに多数携わる。2006年、同社執行役員就任。2011年、社内事業の「オープンイノベーション研究所」所長に就任。セカンドライフブームの火付け役としてXR を活用したビジネスに関わる。2014年、同社を退社後、起業家としてソフトウェアスタートアップを創業。イグジットを経て、金融庁が管轄する日本人材機構のスタートアップメンバーとして地方企業の人材育成やコンサルティングに多数携わる。2016年、開発者の山口征浩と出会い、Psychic VR Lab(現STYLY)の設立に参画し、取締役COO就任。同社が開発したXRプラットフォーム「STYLY」を用いて、2018年、ファッションブランド「ヨウジヤマモト」とタッグを組み、国内の店舗に居ながらVRでパリコレのランウェイを体感できるイベントを開催。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「固体材料開発のフロンティア」(日本化学会編/化学同人)

2024-07-23 09:36:54 |    化学



<新刊情報>



書名:固体材料開発のフロンティア (CSJカレントレビュー:49) ~熱力学的支配を超えた物質合成と新機能開拓を目指して~

編者:日本化学会

発行:化学同人

 力学特性、電気特性、磁性、触媒活性など特異な機能をもつ固体化合物は、構造材料や電子材料、エネルギー材料として極めて有用である。熱平衡条件下での反応により合成可能な固体化合物の構造や機能は限られるが、非熱平衡反応を利用した準安定な組成や構造をもつ化合物に目を向けると広大な未開拓領域が広がっている。同書では、高圧環境、ナノサイズ化、エピタキシャル薄膜成長、電気化学反応やイオン交換などを駆使した合成と機能開発、第一原理計算や機械学習を用いた大規模な構造・機能予測を中心に、固体材料研究の最前線と将来展望をまとめた。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●科学技術ニュース●東京農工大学、九州大学とロンドン大学、世界最高性能の鉄系高温超伝導磁石の開発に成功

2024-07-23 09:35:03 |    物理
 東京農工大学の山本 明保 准教授、德田 進之介 氏(博士後期課程修了)、石井 秋光 氏(博士後期課程修了)、山中 晃徳 教授、九州大学の嶋田 雄介 准教授、ロンドン大学 キングス・カレッジのマーク・エインズリー 講師らは、人工知能(AI)の手法の1つである機械学習を合成プロセスに活用することで、世界最高の磁力を持つ鉄系高温超伝導体の永久磁石を開発、テスラクラスの強力磁場を安定保持することに初めて成功した。

 高温超伝導体では、磁力の元となる超伝導電流が結晶粒界(超伝導体の結晶と結晶の間のつなぎ目)で抑制される課題があった。

 同研究では、無数の結晶と結晶粒界から構成される多結晶材料の複雑なミクロ構造を超伝導電流が流れやすいように制御するため、研究者の経験とアイデアに基づくアプローチと機械学習を用いたAIによるアプローチとを融合した合成プロセスの設計手法を構築した。

 この新しいプロセス設計手法により、世界記録の2倍以上強力な磁力を持つ小型の鉄系高温超伝導永久磁石の開発に成功し、医療用MRIレベルの優れた磁場安定性を持つことを実証した。

 鉄系高温超伝導永久磁石は、一般的によく用いられており安価な多結晶型材料(セラミックス材料)の合成プロセスを応用できることから作りやすく、また希少な冷却剤を必要とせず小型冷凍機で運転できるため、多様な超伝導機器・システムへの応用に貢献すると期待される。

【ポイント】

①作りやすく、使いやすい超伝導磁石が期待されていた。
②研究者の知見とAIを融合した設計手法により、効率的に合成プロセスを探索。
③世界記録の2倍超の磁力を持ち、磁場安定性にも優れた小型超伝導永久磁石を実現。

<科学技術振興機構(JST)>
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●科学技術ニュース●三菱重工業、アルセロール・ミタルのゲント製鉄所で世界初となる排出CO2再利用の実証試験を開始

2024-07-23 09:34:19 |    ★炭素ニュース★
 世界有数の鉄鋼・鉱業企業であるルクセンブルクのアルセロール・ミタルと三菱重工業は、CO2再利用に関する先進技術を有するベルギーのディ・カーボン(D-CRBN)と協働し、回収した二酸化炭素(CO2)を鉄鋼や化学製品の原料となる一酸化炭素(CO)に変換する技術についての実証試験を、アルセロール・ミタルがベルギーに有するゲント製鉄所で開始する。

 これは、CO2排出量を削減するべく開発されたディ・カーボンのプラズマ変換技術を初めて実証する試験となり、ゲント製鉄所はこの一連のプロセスを実証する世界初の製鉄所となる。

 今回の実証試験は、三菱重工が関西電力株式会社と共同開発したCO2回収技術「Advanced KM CDR Process」の本格的な導入に向け、ゲント製鉄所で実施されているCO2回収実証試験の適用範囲を拡大するもの。

 ベルギー・アントワープを拠点とするディ・カーボンは、プラズマを用いてCO2をCOに変換する技術を有している。

 再生可能電力を利用し、炭素(C)と酸素(O)の結合をプラズマによって切り離すことで二酸化炭素(CO2)を一酸化炭素(CO)に変換する。

 変換されたCOは、高炉で使用されるコークスや原料炭の一部代替として製鉄プロセスに利用されたり、ゲント製鉄所で化学品や代替燃料製造の原料にも活用できる。

 ディ・カーボンの変換技術に必要とされる高純度なCO2は、ゲント製鉄所において高炉ガスと圧延再加熱炉の排ガスからCO2を回収する実証試験に用いられている三菱重工のCO2回収装置から供給される。

 CO2回収装置とディ・カーボンのプラズマ変換装置は、7月1日に接続された。

 今回の実証試験は、鉄鋼生産の過程で発生するCO2に含まれる不純物がプロセスや製品ガスに悪影響を及ぼさないことを確認するという点において非常に重要な意味を持つ。

 アルセロール・ミタルは、2030年までに同社欧州拠点から排出されるCO2量を35%削減するといった脱炭素化目標の達成に向けた、いくつかの施策を打ち出している。

 その1つが、高炉で排出されるCO2の循環利用(CCU:Carbon dioxide Capture and Utilization)あるいはCO2貯留(CCS:Carbon dioxide Capture and Storage)を行う「スマートカーボン製鋼」。

 アルセロール・ミタルは、世界60ヵ国に拠点を置き、15ヵ国に製鉄事業を展開する世界有数の鉄鋼・鉱業会社。欧州・米州最大の製鉄事業者であり、合弁会社のAM/NS Indiaを通じてアジアでのプレゼンスも高めている。アルセロール・ミタルは、自動車、エンジニアリング、建設、機械業界を含む多様な顧客に製品を供給しており、2023年の売上高は683億ドル、粗鋼生産量は5,810万トン、鉄鉱石生産量は4,200万トンに達した。<三菱重工業>
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする