“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「最強に面白い 周期表」(桜井 弘監修/ニュートンプレス)

2024-07-02 09:34:08 |    化学



<新刊情報>



書名:最強に面白い 周期表~小さいけれど本格派! 史上最強の完全元素図鑑!!~

監修:桜井 弘

発行:ニュートンプレス(ニュートン超図解新書)

 ロシアの化学者のドミトリ・メンデレーエフ(1834~1907)は、化学の教科書を執筆しながら、元素をどのように紹介したらいいだろうかと考えていた。「次々に発見される元素をどう整理するか」という問題は、当時の化学者たちの議論の的となっていた。発見された元素を軽い順番に並べてみたところ、何らかの規則性がひそんでいるようだったからである。そこでメンデレーエフは、元素を一つ一つカードに書いて並べて、元素を紹介するのに都合のよい並びを探した。そして1869年、ついに決定版といえる元素の一覧表を発表した。それが、世界ではじめての元素の「周期表」である。同書は、周期表と全118種類の元素を、楽しく学べる1冊。“最強に”面白い話題をたくさんそろえたので、どなたでも楽に読み進めることができる。周期表に並んでいる118種類の元素が、きっと身近に感じられるはず。どうぞお楽しみください。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「DSPラジオの製作ガイド」(後閑哲也著/技術評論社)

2024-07-02 09:33:40 |    電気・電子工学



<新刊情報>



書名:DSPラジオの製作ガイド~簡単ラジオ&PICマイコンを使った高機能ラジオの作り方~

著者:後閑哲也

発行:技術評論社 

 最近のラジオ工作は、わずか1個の小さなDSPラジオICを使って、驚くほど高感度のラジオが作れる世界になっている。特に難関だったFMラジオも、コイルやフィルタが全く不要となり、抵抗とコンデンサだけで作れてしまう。同書は、このDSPラジオICを使った「簡単に作れるAM/FMラジオ」から、「PICマイコンを使った高機能DSPラジオ」の作り方まで解説。ラジオ局の選択をボタン一つでできるようにしたり、液晶表示器にラジオ局名や感度を表示する機能が、PICマイコンを使うことで簡単に手に入る。
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●科学技術ニュース●東京大学など、多彩なスピン構造の間のトポロジカル数スイッチングに成功し次世代素子への応用に期待

2024-07-02 09:33:05 |    電気・電子工学
 東京大学大学院工学系研究科の吉持遥人 大学院生、高木里奈 助教(研究当時)、関真一郎 准教授らの研究グループは、同大学物性研究所の中島多朗 准教授、北海道大学大学院理学研究院の速水賢 准教授らとの共同研究を通て、GdRu2Ge2という希土類合金において、外部磁場の大きさを変化させることで、「楕円形スキルミオン」や「メロン-アンチメロン分子、「円形スキルミオン」といった多彩なスピン構造を観測することに成功した。

 磁性体で見られる電子スピンの渦構造である磁気スキルミオンは、トポロジーに保護された安定な粒子として振る舞うことから、次世代の情報担体の候補として注目を集めている。

 スキルミオンは従来、対称性の低い結晶構造を有する物質のみで発現すると考えられてきた。しかしながら、近年では新しい形成機構によって、対称性の高い物質において直径数ナノメートル(nm、1 nm は 10 億分の 1 メートル)の極小サイズのスキルミオンが報告されている。

 そこで同研究では、希土類合金 GdRu2Ge2 を対象として研究を行った結果、本物質では直径 2.7ナノメートルの極小サイズのスキルミオンが実現しており、さらに外部磁場の大きさに応じて複数の多彩なスピン構造が発現することを明らかにした。

 同成果は、極小サイズのスキルミオンにまつわる新しい物質設計指針を与える結果であることに加え、同物質で見られるスキルミオンとメロン-アンチメロン分子は異なるトポロジカル数によって特徴付けられることから、外部磁場による多値メモリ動作といった新たな応用展開につながる可能性を秘めている。

 同研究は、遍歴電子が媒介する相互作用の一種のフラストレーションの機構に基づく、極小サイズの多彩なトポロジカルスピン構造を実現するための新しい物質設計指針を確立するものであると言える。

 同物質で実証した、外部磁場による異なるトポロジカル数によって特徴付けられるスピン構造の切り替え、すなわち多彩なトポロジカルスピン構造間のスイッチングは、多値メモリ素子などの新しい応用可能性を秘めている。

 つまり、外部磁場によってこれらのスピン構造を選択的に制御し、それぞれに例えば“0”、“1”、“2”、“3”を対応させれば多ビットを表現することができるため、スキルミオンを情報媒体とする多値メモリ素子への活用が期待できる。

 また、同研究で明らかにした物質設計指針をもとに、今後さらなる物質探索が進むことで、超高密度・超低消費電力な次世代素子への応用に貢献することが期待される。<高エネルギー加速器研究機構(KEK)>
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●科学技術ニュース●旭化成、リチウムイオン電池用超イオン伝導性電解液を開発し低温下での出力向上と高温下での耐久性向上の両立を可能に

2024-07-02 09:32:27 |    電気・電子工学
 旭化成は、このたび、同社が開発した超イオン伝導性電解液を使用したリチウムイオン電池(LIB)のコンセプト実証(PoC)に成功した。

 同電解液は、溶媒にアセトニトリルを含むことで既存の電解液では実現困難な高いイオン伝導性を有しており、同社独自の電解液組成調合技術と電極/電解液の界面制御技術により、現行LIBの課題である「低温下での出力向上」と「高温下での耐久性向上」の両立を実現した。
 
 これらは、出力向上・急速充電などを可能とし、電動自動車等における搭載電池の削減や電極の厚膜化による電池の容量アップおよび低コスト化に貢献する。

 LIBは、一般的には10~45℃程度の温度範囲内での使用が推奨されているが、近年、電動モビリティや電力貯蔵システムの多様化、また世界各国におけるLIBの需要拡大に伴い、低温および高温下で使用するニーズが高まっている。

 しかし、低温下では、電池容量及び出力の低下、長い充電時間が問題であり、高温下では、電池の劣化が加速され、寿命が短くなる問題がある。

 同社は、アセトニトリルの高い誘電率と安定性に着目し、2010年より同社名誉フェローの吉野彰が率いる吉野研究室で同電解液の研究開発を開始した。

 独自の電解液組成調合技術と電極/電解液の界面制御技術により、低温下で高い電池性能を維持するとともに、高温下でも高い耐久性を有する電解液を実現した。

 実用化に向けたPoCは、リン酸鉄(LFP)系円筒電池にて実施され、マイナス40℃の極低温でも高い出力で動作し、かつ60℃の高温でも高い充放電サイクル耐久性を有することが実証された。

 今後、自動車メーカーやLIBメーカーとの連携を強化し、2025年の実用化を目指す。

 同社は、顧客との共創において研究開発の段階から技術供与やコンサルティングを通じて収益化を目指していくような新たな取り組み『テクノロジーバリュー事業開発』を進めている。

 同社は、今回のPoC成功を契機に、同電解液の技術をLIBメーカーに広くライセンスすることにより、LIBの高性能化とコストダウンおよび低炭素社会に貢献する。(旭化成)
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