“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「数学思考のエッセンス」(オリヴァー・ジョンソン著/みすず書房)

2024-07-05 09:51:21 |    数学



<新刊情報>



書名:数学思考のエッセンス~実装するための12講~

著者:オリヴァー・ジョンソン

訳者:水谷 淳

発行:みすず書房

 「週末のバーベキューが雨で台なしになる確率は?」「買い物のレジ待ちで早く進む列を見分けるには?」「パーティーを抜けるベストなタイミングは?」――こうした身近な問いをもとに、数式をほとんど使わずに、数学者や統計学者の考え方の勘どころを伝授する実用的数学入門。「構造」「ランダムさ」「情報」の3つのパートごとに解説する。著者は、コロナ危機時に正確な情報発信で話題となった英ブリストル大学数学科の情報理論教授。「3つのパートで採り上げる数学のツールキットを身につければ、世界の変化の根底にある構造的原理を理解し、その伝えられ方を支配するランダムさと不確かさを認識し、正しい情報と嘘の情報を区別できるようになるだろう。(略)10年後にどんなニュースが世間を席巻しているかを予測するのはほぼ不可能だが、このツールキットを身につければ、どんなニュースが来てもそれを合理的な形で分析して、シグナルとノイズを峻別する力を高めることができる」(「はじめに」より)【目次】パート1 構造 第1章 図は口ほどにものを言う 第2章 おおまかにとらえる 第3章 対数を駆使する 第4章 規則に従う パート2 ランダムさ 第5章 データはランダムである 第6章 命に関わる統計 第7章 陽性か陰性か 第8章 オッズと傾向 パート3 情報第9章 情報にはパワーがある 第10章 酔っ払い、待ち行列、ネットワーク 第11章 計るための手段 第12章 ゲーム理論 パート4 教訓 第13章 過ちから学ぶ
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「Media Composer パーフェクトガイド」(もとたかし著/技術評論社)

2024-07-05 09:50:54 |    情報工学



<新刊情報>



書名:Media Composer パーフェクトガイド

著者:もとたかし

発行:技術評論社(パーフェクトガイドシリーズ) 

 プロ愛用の映像編集ソフト「Media Composer」のリファレンスが登場。Media Composerは、主にポストプロダクションに利用される映像編集ソフトで、多くの制作会社で導入されている。自由度やカスタマイズ性の高さが魅力のソフトだが、その分使いこなす難しさを感じるユーザーもいるようである。そこで同書では、映像制作の基本となるシークエンスの編集操作から、各種エフェクトや字幕、オーディオ編集など、工程を一つひとつ解説。さらには、筆者が長年にわたる現場での経験で培った実践的テクニックもふんだんに散りばめた。この本でプロのような手際の映像編集を始めよう。最新バージョンの2024.2に対応。
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●科学技術ニュース●京都産業大学と富山県立大学、細菌における新規翻訳促進因子を発見しバイオものづくりや創薬開発への新たな可能性

2024-07-05 09:50:11 |    生物・医学
 翻訳装置リボソームは、mRNAにコードされた塩基情報をアミノ酸情報へと変換する生体機能の担い手であり、生命活動に欠かすことのできないタンパク質の合成装置である。

 しかし、リボソームはどんなアミノ酸でも一様に翻訳できるわけではなく、特定のアミノ酸配列では翻訳効率が低下すること、場合によっては翻訳が停滞してしまうことが知られている。

 翻訳反応の停滞や未成熟な異常タンパク質の蓄積は生体機能に甚大な影響を及ぼす。

 このようなリボソームの不完全さを補う因子として、EF-P(Elongation Factor P)などの翻訳促進因子が発見されてきた。

 一方で、EF-Pは、細菌の生育に必須な因子ではないため、同様の機能を持つ他の因子の存在が議論されてきたが、その実態はこれまで不明のままであった。

 京都産業大学と富山県立大学は、モデル細菌である枯草菌(こそうきん)を用いて、翻訳促進遺伝子であるefpの変異体との二重変異によって合成致死となる変異の探索を行い、機能未知なタンパク質の一種であるABCF因子のYfmRを同定した。

 さらに、EF-PおよびYfmRが、プロリンとアスパラギン酸が交互に含まれる配列によって生じる翻訳停滞を解消する役割を果たすことを明らかにした。

 以上の結果より、これまで機能未知であったABCF因子がリボソームの翻訳停滞を解消し、タンパク質合成を促進するメカニズムを詳細に解析した。

 さらに、生命情報科学注5)を用いた解析から、多剤耐性遺伝子として注目されているARE(antibiotic resistance)-ABCF因子群が、こういった翻訳促進因子として作用するABCF因子を共通祖先として進化してきたことを明らかにした。

 これにより、タンパク質合成装置リボソームの動的調節メカニズムに関する新たな知見が得られ、抗菌薬耐性機構の解明や新たな抗菌薬の開発に向けた基盤になることが期待される。<科学技術振興機構(JST)>
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●科学技術ニュース●日立建機、全社DXを支援する大規模基幹システム基盤をオラクルのパブリッククラウドサービス「OCI」で刷新

2024-07-05 09:49:44 |    情報工学
 日立建機は、経理、開発、生産、設計、販売、部品、輸出、人事、サービスを担う大規模かつミッションクリティカルな基幹業務システム基盤のクラウド移行に、オラクルのパブリッククラウドサービス「OCI(Oracle Cloud Infrastructure )」を導入した。

 日立建機は、OCI上で稼働する「Oracle Cloud VMware Solution」と「Oracle Exadata Database Service」を活用し、アプリケーションやデータベースの構成変更を、最小限に抑えた確実なクラウド移行を短期間で実現した。

 同社は、OCI上で、柔軟性、拡張性、性能および経済性に優れたシステム基盤に刷新し、全社で取り組むデジタル・トランスフォーメーション(DX)を加速させる。

 日立建機は、油圧ショベル、ホイールローダ、道路機械、鉱山機械の開発、製造、販売、レンタル、サービスを手掛けており、世界中で累計40万台以上の建設機械が稼働している。「顧客に寄り添う革新的ソリューションの提供」を経営戦略の1つとして掲げ、DXを推進している。具体的には、IT環境の自前化を前提に、アジャイル文化の醸成、人財育成、DX基盤の整備に取り組んでいる。

 この一環として、基幹システムや建設機械の稼働データを一元化し、データ活用に向けた今後のAI導入を見据え、大規模基幹システムのパブリッククラウドへの移行を決定した。

 クラウドの柔軟性と拡張性に加え、従前のオンプレミス環境からの安心・安全な移行、同様の可用性とデータ保護の実現、事業継続性の強化、TCO削減などの要件を元に、複数のパブリッククラウドを検討した結果、これらの全ての要件を満たすオラクルのOCIを選定した。

 日立建機は、オンプレミスのVMware仮想化環境にあった約500のアプリケーション・サーバーと約100のデータベースを「Oracle Cloud VMware Solution」、「Oracle Exadata Cloud Service」に移行し、オンプレミス環境と同じアーキテクチャ、管理性を維持しながら、より高い性能、可用性、データ・セキュリティ構成を実現し、コストを最適化する。

 また、事業継続性の強化に向け、「Oracle Cloud」東京と大阪リージョンを活用した災害復旧環境も新たに構築する。

 同プロジェクトは、日本オラクルのコンサルティング・サービス部門の支援のもと、データベース統合および移行は日立ソリューションズによる協力、「Oracle Cloud VMware Solution」へのアプリケーション移行は日立製作所ならびに日立システムズによる協力を得て、日立建機が自社で行っている。

 2023年4月から4カ月でOCI上に環境構築を行い、2023年8月に開発環境を先行して移行したあと、本番環境を段階的に移行し、2024年5月に「Oracle Exadata Database Service」への移行を完了した。

 さらに今後、2024年8月に「Oracle Cloud VMware Solution」への移行を完了させ、2024年内に災害復旧環境の稼働開始を予定している。<日本オラクル>
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