“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「超伝導」(高田康民著/朝倉書店)

2019-08-26 09:26:19 |    物理

 

<新刊情報>

 

書名:超伝導

著者:高田康民

発行:朝倉書店(朝倉物理学大系)

 現象の基礎から理論・機構まで俯瞰する比類なき書。〔内容〕電子フォノン複合系(断熱近似,格子力学,電子フォノン相互作用,ポーラロン他)/超伝導研究の歴史とBCS理論/超伝導機構の微視的機構とその転移温度の第1原理計算。

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★科学技術ニュース★産総研、大規模な自由記述式アンケートを可能にするシステムを開発

2019-08-26 09:25:51 |    人工知能(AI)

 産業技術総合研究所(産総研)人工知能研究センターの川本 達郎 研究員は、テクニカルスタッフの山下 慧、高橋 碧と共同で、機械学習を用いて大規模な自由記述の回答文から効率的に意見を集約できるアンケート手法「投票クラスタリング( voteclustering)」のシステムを開発し、実証実験の受付ウェブサイトを公開した。

 世論調査を始めとして、人々の意見を集約するアンケート調査は、頻繁に使われている重要な手段である。しかし、従来のアンケート調査は根本的な問題を抱えていた。選択式アンケートは、あらかじめ用意された回答候補に回答者が賛成・反対を表明するもので、回答者たちが真に心の中に思っていることが回答候補に含まれていない場合、不正確な結論を導いてしまうという問題がある。

 一方、回答者に自由に文章で回答することを許容する自由記述式アンケートは、回答を収集した後に、大量の意見の集約を行うことが非常に難しかった。自然言語処理技術を用いる処理方法もあるが、対象分野に関する辞書や多くの例文データを必要とする、正しく意味をくみ取ることが保証されない、といった問題がある。そのため、大規模で多様な意見を的確に収集・集計するアンケート調査は、現実的には大変困難であった。

 人工知能研究センターの確率モデリング研究チームでは、日常生活の中の現象を購買行動データ、カメラなどのセンサーデータ、アンケートなどを通して観測し、確率的にモデリングし、シミュレーションや予測により、小売りや接客などのさまざまなサービスを改善することを目指した研究開発を行ってきた。その一環として、日常生活における価値観や意見を観測するための重要な手段の一つである、大規模な自由記述形式アンケート手法の研究開発と社会実装に取り組んできた。

 今後、実証実験サイトを通して、大規模自由記述式アンケートの機会を広く提供し、実証実験を重ねていく。投票クラスタリングで収集されたデータは、産総研でデータ解析をし、結果をアンケート利用者に提供する。これを通して、システムの有効性を検証するとともに、より高精度なデータ処理方法の研究開発を進め、実サービス化を目指す。

 投票クラスタリングの手法は、川本研究員と香川大学教育学部の青木 高明 准教授が共同で開発したもの。 

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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「計算ナノ科学」(大野かおる編著/近代科学社)

2019-08-26 09:25:26 |    物理

 

<新刊情報>

 

書名:計算ナノ科学~第一原理計算の基礎と高機能ナノ材料への適用~

編著:大野かおる

著者:中村振一郎、水関 博志、佐原 亮二

発行:近代科学社(ナノ学会編 未来を創るナノ・サイエンス&テクノロジー)

 理論、実験に次ぐ「第三の科学」と言われてきた計算(機)科学は昨今、理論や実験に先駆けて様々な現象を予測、発見するための不可欠な分野となっている。物質物性科学・工学の世界では、量子論に基づく第一原理計算によって、ナノスケールの構造・性質のきわめて正確な予測が実現している。同書では、第一原理計算の理論的なベースとなる多体電子論の解説から入り(第1章)、それを実際に計算するためのアルゴリズムの紹介をカーボン材料の応用例を使って行う(第2章)。第3章では、特に環境問題の範疇で実現が叫ばれる炭素固定技術を第一原理計算で探る取り組みを、第4章では、第一原理計算が成功を収めたいくつかの事例を、それぞれ紹介する。  

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