朝風のよく通る庭で干し梅を裏返していると、近くでコジュケイの声がした。この鳥の聞きなしを、長い間「ちょっと来い、ちょっと来い」だと思っていた。中国原産で、日本に住み着いた昔から、人々はこのように聞いていたと……。
最近「ちっと食え、ちっと食え」と鳴くのだと言うのを聞いて、胸がつまりそうだった。為政者や地主による貧困や、凶作による飢えを背景として生まれた言葉かと思ったからだ。これらの由来はともかく、糖尿病の今の私には「ちっと食え、ちっと食え」は、戒めとも慰めとも聞こえてありがたい。
薩摩川内市 森孝子 2012/8/13 毎日新聞鹿児島版掲載
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