はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

要介護レベル10

2009-04-04 12:52:29 | はがき随筆
 花壇に咲き誇るボケの花に気を取られ、階段で空足を踏む。 
腰が「ピッ」と鳴り、その場にへたり込む。
 この瞬間から、日常生活が一変した。「イタッ、イタタ」を連発して、トイレまでの15㍍の距離に20分を要する。くしゃみや笑いでも、顔がゆがむ。起き上がる激痛に耐えかねて、食事までも拒否する始末。
 満開のボケの花も、絞りのツバキの花さえも、健康を害するとうっとうしい。頭は激痛に満ち満ちて、世の中すべてが癇に障る。
 野山は春のピンク色。私は要介護レベル10ほどの灰色。
   出水市 道田道範(59) 2009/4/1 毎日新聞鹿児島版掲載
   写真は源さん

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