はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

見送られる寂しさ

2022-07-25 22:13:52 | はがき随筆
 改札の前で友人は泣いていた。私たちは新幹線で1時間、バスなら3時間離れた所に住んでいる。大学生でお金も時間も余裕のない私たちは、月に1度会うのがやっとである。
 4月の半ば、友人が会いにきた。水族館に行き、私の家にお泊りして、慈眼寺公園にネモフィラを見に行った。
 帰りの新幹線出発の10分前、友人は「なんか悲しくなっちゃった」と涙。私は驚いたが、笑顔で見送らなきゃと泣かなかった。家に戻り、友人の寂しさに思いを巡らせたが、想像がつかなかった。6月、その気持ちを知るために私が会いにいく。
鹿児島市 前田志帆(20) 2022.5.28 毎日新聞鹿児島版掲載

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