はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

母の日に思う

2016-06-20 22:00:05 | はがき随筆
 母が父の5カ月後に手の届かぬ世界へ旅立って、はや8年となる。生前、私の両手をしみじみと見ながら「あんたの手はお父ちゃんの手に似てよかった。きれいな手だ」と言っていた。
 父と2人で畑の土にまみれ、手の節も曲がり、手のひらもガサガサしていた。幼いころ「背中がかゆい」と訴えると「ガサガサしているから気持ちよかろうが」と言いながら、かいてくれた。髪の毛も編んでくれた。
 できるものなら母の指を一本一本なでてあげ「ありがとう、ありがとう」と言ってあげたい。庭を吹きわたる風に、母子草がかすかにゆれている。
 外薗恒子 2016/6/20 毎日新聞鹿児島版掲載

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