はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

カミチョロ

2012-05-31 12:05:57 | はがき随筆
 「蛇、へび、へびがいる」と台所から妻の大声が。2㌢ほどの物体が床の上でくねくねと跳ねるように動いている。よく見るとトカゲのしっぽ。飼い猫のロイドが庭での獲物を口で運ぶ途中にしっぽが切れたようだ。
 私が育った北九州では、子どもたちはトカゲをカミチョロと呼んだ。夏が近づくと友と野原に出かけ、腹ばいになり捕まえた。家に持ち帰り、尻尾をもちながらお互いのカミチョロを争わせるという残酷な遊びに興じていた。机の上で跳ねる小物体や引き出しから出てきた小動物に、私の母も妻と同じように肝を冷やしていたことだろう。  
  鹿児島市 高橋誠 2012/5/30 毎日新聞鹿児島版掲載

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