はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

トンカツ

2019-07-18 21:23:55 | はがき随筆

 突然、弟が逝ってしまって、36年の歳月が過ぎてしまった。この時期になると、いろんなことが思い出され、胸が苦しくなってくる。亡くなる2日前にやってきて、大好きなトンカツをおいしそうに食べて「あー疲れた」と言い、その場に寝てしまった弟の顔は疲れ切っていて、とても起こすことができなかった。朝方「ありがとう」と帰っていった姿が最後だった。

 21歳、あまりにも早い一生だった。なににそんなに疲れていたのか、今となってみれば知ることもできない。ただ、トンカツを食べているときの満足げな顔は彼そのものだった。

 鹿児島県霧島市 上野京子(63) 2019/7/14 毎日新聞鹿児島版掲載


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