はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

狂い咲き

2006-10-30 08:43:47 | はがき随筆
 野も山も、光も水も秋。朝夕は涼しくなったが、昼間はなお厳しい暑さが続く今日このごろ。桜並木の老木が季節を勘違いしたらしい。枝々にちらほら白い花が見える。まさに狂い咲きだ。地球も社会も、どこか狂っているご時世だから、桜だって狂うのが当然かも知れない。だが、花の狂い咲きはどこか切なく、情熱的でいとしい。
 そうだ、我ら老人も身体は枯れ木同然で、故障も多く動きも鈍くなったが、心を燃え立たせることはできる。人を愛し、人に恋し、心躍らせ、狂い咲きして生きるのだ。桜の老木に負けないように。
   霧島市 楠元勇一(79)2006/10/30 掲載
写真は珠樹さんさんよりお借りしました。

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