「やっぱり器用に生きられないのね……」と、島倉千代子が歌う「鳳仙花」という歌がある。そのテープを持って、脳梗塞で入院した友の見舞いをした。友の妻から、夫が元気な頃、2人でよく「鳳仙花」を聴いたと聞いていたのだった。
歌を流すと、自分も身寄りがなく、夫が心配でたまらない友の妻は涙がとまらなかった。それを見ていた、言葉も出ず両手足とも麻痺した病床の友も涙を出し始めた。
2人を見ていた私も、もらい泣きしてしまった。2人の身の上をよく知っているからでもある。……幸薄い、友とその妻。
出水市 小村忍 2017/3/14 毎日新聞鹿児島版掲載
歌を流すと、自分も身寄りがなく、夫が心配でたまらない友の妻は涙がとまらなかった。それを見ていた、言葉も出ず両手足とも麻痺した病床の友も涙を出し始めた。
2人を見ていた私も、もらい泣きしてしまった。2人の身の上をよく知っているからでもある。……幸薄い、友とその妻。
出水市 小村忍 2017/3/14 毎日新聞鹿児島版掲載