はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

生きる

2008-05-30 20:01:08 | はがき随筆
 3年前から家の南側の排水が悪くなった。何か詰まっているのか。大雨の度に水はあふれ、犬走りの高さを超えて今にもクーラーの室外機に届きそうだ。
 もう限界。梅雨も近いし業者に頼むことにした。
 直径15㌢の排水口から高圧洗浄機を入れるが、水はスムーズに流れない。道路側のふたを外す。近所の方々と一緒に見る。
 正体が現れた。ささらを太くして束ねたような黒ずんだものが土管へ入り込んでいる。
 引き出されたのは、3㍍くらい長く伸びた木の根。生け垣のサザンカの1本が、水を求めて土管へ足を伸ばしていた。
   いちき串木野市 奥吉志代子(59) 2008/5/27 毎日新聞鹿児島版掲載

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