梅雨の晴れ間、玄関の掃除を始めた。ドアを開けると湿った空気が一気に外へ流れ出る。
ベランダの日の当たる場所に履き物を並べた。白いスニーカーは亡き夫のもの。靴ひもを解いて、思い切り内側を広げ、洗濯ばさみで止めて日に向けた。
生前、父の日に娘が贈ったもので、サイズが少しあわず、5㍉大きなものに交換してもらった。やがて、陽を浴びた白いスニーカーに、そっと足を入れてみた。
ふんわりとした感触に、私はしばし立ち止まり、視力の弱かった夫が靴ひもを確かめるように履いていた姿を思い出す。
鹿児島市 竹之内美知子 2012/8/15 毎日新聞鹿児島版掲載
ベランダの日の当たる場所に履き物を並べた。白いスニーカーは亡き夫のもの。靴ひもを解いて、思い切り内側を広げ、洗濯ばさみで止めて日に向けた。
生前、父の日に娘が贈ったもので、サイズが少しあわず、5㍉大きなものに交換してもらった。やがて、陽を浴びた白いスニーカーに、そっと足を入れてみた。
ふんわりとした感触に、私はしばし立ち止まり、視力の弱かった夫が靴ひもを確かめるように履いていた姿を思い出す。
鹿児島市 竹之内美知子 2012/8/15 毎日新聞鹿児島版掲載
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