はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

シマンの君

2011-01-30 17:04:31 | はがき随筆
 冬になると、北島三郎の「風雪ながれ旅」を踊ります。
 小道具のショールは、紺色から空色にぼかしが入り、周りに濃紺のふさがついています。
 むかーし、新年会で舞い終えて丁寧にたたんでいたら、いつも無口で仏頂面のK刑事が「ちょっと、貸してくいやん」と言って、返事も待たずに持って行きました。別室から現れた彼はふんどしにして、ひょうきんな踊りを始め大ウケでした。
 「オー、ノー。それ4万円したの、シマン、シマン」。
 彼の君は、今どこにいる?
 ショールを抱きしめていると懐かしい気配がしました。
  阿久根市 別枝由井 2011/1/28 毎日新聞鹿児島版掲載

最新の画像もっと見る

コメントを投稿