ウキを買った。小さいが、鮮やかなその色彩が私をとりこにしたのだ。釣りざおにセットするとアトリエの窓辺に飾った。
少年の日、理想の竹を探し回ったものだ。選び抜いた竹は火にあぶり布で磨き、愛用の釣りざおとした。木を削り父の油絵の具で赤や黄や緑色を塗り自慢のウキにした。コオロギの枕になるような小石はオモリとなった。少年にとって1本の釣り針は宝同然だった。近くの三角池のマコモの根元でミミズをエサによくフナを釣ったなあー。
窓辺のウキは今、遠く懐かしい黄土色の夏への、秘密の入り口になっているのだ。
出水市 中島征士(64) 2009/9/3 毎日新聞鹿児島版掲載
少年の日、理想の竹を探し回ったものだ。選び抜いた竹は火にあぶり布で磨き、愛用の釣りざおとした。木を削り父の油絵の具で赤や黄や緑色を塗り自慢のウキにした。コオロギの枕になるような小石はオモリとなった。少年にとって1本の釣り針は宝同然だった。近くの三角池のマコモの根元でミミズをエサによくフナを釣ったなあー。
窓辺のウキは今、遠く懐かしい黄土色の夏への、秘密の入り口になっているのだ。
出水市 中島征士(64) 2009/9/3 毎日新聞鹿児島版掲載
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます