初めて東京から帰省した2人の孫を空港へ送り、出発を待っていた。目の前の大型機の操縦席で白い手袋が動いている。ガラスの曇りをふいているのかと思ったが、私たちに手を振っているらしい。いささか寂しさを感じていた妻も私も思わず手を振った。この若い2人のパイロットは私たちの孫が乗っているのを知っているはずがない。でも「安心してください。2人で必ず東京まで送り届けます」と言っているように思え、勝手に感動してしまった。見え隠れしながら勇ましく高度を上げる飛行機が雲の中に消えるまで妻と2人、遠い空を見つめていた。
曽於郡大崎町 新屋昌興(70) 2008/9/3 毎日新聞鹿児島版掲載
写真はKUMIさん
曽於郡大崎町 新屋昌興(70) 2008/9/3 毎日新聞鹿児島版掲載
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