はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

茗荷の先輩

2018-04-26 10:59:10 | はがき随筆


 4月、昨年退職の先輩から頂いた茗荷の芽が出た。
 たった1本の芽に毎朝「よく出て来たな」と話し掛けながら喜んだ。1週間もするとさらに2本。「寂しくなくてよかったなあ」と話し掛けるとやがて6本に増えた。小猫の額ほどの庭の椿の木の下である。
 好きな人には「名」は「何」の如く自分の名前を忘れるくらい美味いと言われる。冷や奴や素麺、味噌汁の薬味としてなくてはならない存在である。
 先輩は私にとって薬味のような存在でもある。さりげなく的を得て、明日にはあっさりと忘れているという人柄である。
  宮崎市  杉田茂延  2018/4/26 毎日新聞鹿児島版掲載

最新の画像もっと見る

コメントを投稿