6歳の息子は釣り人である。せわしなくさおを操る母に「ジッと待つ方が釣れるんだよ」とアドバイスまでくれる。すでに立派な太公望である。
先日、大隅まで川釣りに行った。水音は思ったより激しい。さお先のしなりを合図にひき上げれば、ニジマスが姿を現す。この日は4匹釣れた。「全部、違う料理にして」とのリクエストに、塩焼き、ムニエル、ホイル焼き、ニジマス飯を作った。息子の収穫を食卓に供すると、自分が太古の母であるかのような気持ちがする。「またよろしくね」と言うと、小さな川幸彦はにっこり笑った。
鹿児島市 堀之内泉 2016/11/2 毎日新聞鹿児島版掲載
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