洗濯場にふらりとやって来た茶の猫、苦手なくせに窓越しに様子をうかがう妻と私、日中は日差しを避けて塀の隅に横たわる。時々姿を隠すが、朝になるとまた現れる。互いの警戒心も解けていく。野良猫の名は「にゃあ」、名付け親は猫嫌いな妻。「いいんだよ、そこに居てよしよし」。妻が声をかける。返事はない。じっと見つめ合う。何食べているんだろう。お水はどこで飲んでいるんだろう。気が気でない。いつの間にか私たちの心をつかみ、我が家の主役になった猫。どうしたんだ、今朝は姿がない。「にゃあ、早くおいで」
熊本県八代市 廣野邦彦(62) 2022.7.21 毎日新聞鹿児島版掲載
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