夏の日、涼をとりに山道へ入ると「犬ビワ」の実が、道を覆い尽くしていた。
子供の頃、姉や弟と競いあって食べたなあ~と懐かしい。
戦後の子どもたちは、誰もが空腹だった。唯一真夏に熟す犬ビワの実は、一時空腹をやわらげてくれた。
車を降りて、一粒口に含んでみる。変わらない優しい甘さに思わず胸がキュンとなる。
今子どもたちは、空腹を知らない。だがこうも自然災害が続くと、不安になる。戦後70年も過ぎると、懐かしむばかりだが、子供たちにはあんな体験をさせたくはない。
宮崎県日南市 永井ミツ子(70)2018/9/27 毎日新聞鹿児島版掲載
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