テレビを見ていたら、ある名前に目が留まった。葵衣さん、アイいやアオイと読ませるのだろうか。われわれ昭和世代の名前は読めるのが前提だった。常用漢字の読みからある程度は推測がつく。そのうち翔を「翔ぶ」のトと読ませるような変化球が出てきたが、それにも法則があるように見えた。先の葵衣さんのように、一字で収まりそうなものを二字にするのもそうだろう。そもそも音だけだった日本語に、輸入した漢字を創意工夫して表現したのが日本語の表記の始まりだ。最近の傾向はキラキラネームというより、むしろ原点回帰なのかもしれない。
熊本市中央区 岩木靖子(55) 2021/7/15 毎日新聞鹿児島版掲載