はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

イマドキの名前

2021-07-15 21:51:04 | はがき随筆
 テレビを見ていたら、ある名前に目が留まった。葵衣さん、アイいやアオイと読ませるのだろうか。われわれ昭和世代の名前は読めるのが前提だった。常用漢字の読みからある程度は推測がつく。そのうち翔を「翔ぶ」のトと読ませるような変化球が出てきたが、それにも法則があるように見えた。先の葵衣さんのように、一字で収まりそうなものを二字にするのもそうだろう。そもそも音だけだった日本語に、輸入した漢字を創意工夫して表現したのが日本語の表記の始まりだ。最近の傾向はキラキラネームというより、むしろ原点回帰なのかもしれない。
 熊本市中央区 岩木靖子(55) 2021/7/15 毎日新聞鹿児島版掲載

湯布院駅にて

2021-07-15 21:41:52 | はがき随筆
 5年前の春、夫と大分を旅した時のことだった。湯布院駅を背に由布岳を眺めながら横断歩道に目を向けると、なんと自分と同じ服を着た人が歩いてくる。あっという間に小柄でショートカットのその人は1㍍横をそ知らぬ振りをして足早に通り過ぎて行った。私は偶然のいたずらに目をそらし、さりげなく見送りながら安物のジャケットもまんざらでもないなと苦笑した。世の中の狭さを思い知らされた初めての出来事だった。
 ほろ苦い思い出はさておき、若い頃登った由布岳を温泉にゆっくりつかりながらもう一度眺めたいと思っている。
 鹿児島県薩摩川内市 田中由利子(79) 2021/7/14 毎日新聞鹿児島版掲載

収集車に感謝

2021-07-15 21:31:18 | はがき随筆
 家の前の坂道を大きな音を立てて上がってきた。アッ! プラスチックごみ収集車だ。出し忘れていた。倉庫から満杯の袋を手に取り、庭を走る。が、気ばかり焦り、足は前に進まない。
 やっと道路に出て集積場を見ると、全部積み終え、車のドアも閉め、発車の態勢だ。
 「待って!」と大声で数回叫びプラを渡す。係の男性は再びドアを開けて積んでくれた。お礼を言うと、彼は腰を二つ折にし、頭を深々と下げ「ありがとうございました」と返礼。
 彼の作業の流れを中断させて申し訳なかったのに、反対にに丁寧なお辞儀をされてしまった。
 宮崎県延岡市 源島啓子(73) 2021/7/13 毎日新聞鹿児島版掲載

翔平フィーバー

2021-07-15 21:16:32 | はがき随筆
 〝リアル二刀流〟大谷翔平選手にこの夏一番の元気をもらっている。ホームランのかっこいいこと! コロナ禍、事件、事故の暗いニュースが多い昨今だからこそ明るい話題で余計にうれしい。翔平は体格が素晴らしい。外国人に全く引けを取らない。ホームランの球音が聞こえてきそうだ。バッターボックスに立つだけで、画面に釘付けになる。今後の活躍を楽しみにしている。世界の翔平に万歳する幸せ。2人の息子も野球をしていたから余計に野球に親しみがあるのだろう。爽やかな挨拶、はきはきした口調にいつも感心していたあの頃が懐かしい。
 熊本県八代市 鍬本恵子(75) 2021.7.11 毎日新聞鹿児島版掲載