はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

老いとの出会い

2021-02-16 11:07:34 | はがき随筆
  今年の正月は、娘が祖父から もらった羽子板をかざった。それを見た妻が「娘はもう46歳」と言った。日ごろ、娘の年齢など頭にない私は驚いた。
 私が45歳だった頃を思い起こすと、つい数年前のような気が する。もう30年近くも経っている。
 写真家の星野道夫さんは、「誰もが、それぞれの老いにいつか出会ってゆく。それは、しんと した冬の夜、誰かが、ドアをた たくように訪れるものなのだろうか」と書いている。
 私は、娘の年齢を聞いて老い に出会い、「年取るはずたい」 とつぶやいた。
 熊本市北区 岡田政雄(73)  2021.2.16 毎日新聞鹿児島版掲載