今年の正月は、娘が祖父から もらった羽子板をかざった。それを見た妻が「娘はもう46歳」と言った。日ごろ、娘の年齢など頭にない私は驚いた。
私が45歳だった頃を思い起こすと、つい数年前のような気が する。もう30年近くも経っている。
写真家の星野道夫さんは、「誰もが、それぞれの老いにいつか出会ってゆく。それは、しんと した冬の夜、誰かが、ドアをた たくように訪れるものなのだろうか」と書いている。
私は、娘の年齢を聞いて老い に出会い、「年取るはずたい」 とつぶやいた。
熊本市北区 岡田政雄(73) 2021.2.16 毎日新聞鹿児島版掲載