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はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

「屋」の技で

2016-08-17 21:03:28 | 岩国エッセイサロンより
2016年8月16日 (火)
    岩国市  会 員   片山 清勝
 「今の時代『や』ではやっていけん」という店主。「や」を聞き返すと「屋」だという。
 本屋、肉屋、呉服屋、薬屋、時計屋、傘屋、まだいくつもあるが、昔からの店は商売内容の次に屋をつけて呼んでいた。そんな商店街をひっくるめた大型店舗が郊外にいくつも進出する。それに連れて客は減り閉店は相次ぎ寂れていく。
 動かなくなった時計を持ち込む。しばらく眺めて「修理、やってみましょう」と店主は笑顔。「屋」ならでこその積み重ね磨き上げた技術が戸閉(とだて)の奥に潜んでいる。これをシャッター開けの鍵にして盛り返せ。
  (2016.08.16 毎日新聞「はがき随筆」掲載)