はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

野菜作り 情熱注ぐ友

2015-05-07 20:37:07 | はがき随筆
2015年5月 6日 (水)

   岩国市   会 員   片山 清勝

 野菜作りを趣味にしている同級生がいる。「土づくり」を大切にし、毎日のように畑に通っている。
 私は散歩の途中で彼の姿を見つけると、立ち寄って野菜の話を聞く。彼はいつも話し終わると、取りたての野菜を持たせてくれる。
 彼は先日、「野菜ソムリエの試験に合格した」と話した。野菜作りにかける情熱と野菜をおいしく食べることに関する旺盛な研究心に、私は感服している。それに磨きがかかる今回の試験合格を心から喜ぶ。
 野菜ソムリエは、野菜や果物の知識を持ち、そのおいしさや楽しさを伝えるスペシャリストだ。野菜の魅力を伝えるため、目利き、保存方法、栄養価、料理方法などの知識を備えているという。
 彼はこれまでも珍しい野菜をくれる時、その特徴や栄養価、レシピなどをメールで届けてくれた。その中には自ら工夫したレシピもあった。
 ソムリエとなった彼が作る野菜はより高い付加価値が付くだろう。これからも立ち寄って、飾らない話を聞かせてもらいたい。

   (2015.05.06 中国新聞「広場」掲載)

はじめまして

2015-05-07 20:22:11 | ペン&ぺん


 気のせいか少し車の中がざらざらする。高速道路の鹿児島空港を過ぎたあたり。前任地の山口県下関市から鹿児島へ赴任する際、九州自動車道を車でゆっくり南下した。あれっと思いながら窓を閉め、鹿児島市内に入って聞いてみると、相手はこともなけに「今日は降ってますよ」。鹿児島は灰のまちだったことを思い起こした。
 灰には参ってしまうけど、桜島は美しい。ただ、それでも噴火は恐ろしい。私が鹿児島に最初に赴任した29年前の1986年、噴石がふもとのホテルを直撃したことがあった。屋根を破って地下室が火事になった。取材の翌朝、再び現場を訪れ、近くに落ちた別の一抱えもある噴石に水を掛けてみると、一晩たっているのにジュッと一瞬で水蒸気が上がった。
 当時から桜島はしょっちゅう噴火していた印象があるのだが、気象台のデータをみると、私がいた1980年代はおおむね年間200~600回だったのに対し、ここ数年は頻繁に1000回を超えている。どか灰の覚悟だけはしていた方がいいのだろうか。
 それでも鹿児島のまちはずいぶんときれいになったように感じる。当時、道路に積もった灰を回収する専用車両が導入されたという記事を書いた記憶があって、それから30年近くたつのだから、きっと降灰対策も進んでいるのだろう。先週末、天文館から歩いて帰宅し、背広の肩にうっすらと広がった灰をはたきながら、改めて鹿児島に帰ってきたと思った。
   ◇
 5月1日付で鹿児島支局に赴任しました。私自身は名古屋や東京で育ちましたが、両親は加世田と串木野の出身です。初任値の鹿児島から小倉、佐賀、大牟田、長崎、水俣、下関と回って、再び鹿児島で勤務することになりました。あえて「はじめまして」の気持ちでまちの様子を見ていきたいと思います。
  鹿児島支局長・西貴晴 2015/5/4 毎日新聞鹿児島版掲載