はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

被災者支援の寄付金切手に温かさ

2011-08-26 22:24:29 | 岩国エッセイサロンより
2011年8月26日 (金)

   岩国市   会 員   片山 清勝 

 郵便局の窓口でいつも買い置きする3種類の切手を求めた。局員は切手の種類を確認しながら「80円はこちらでどうでしょうか」と、別の図柄を示された。

 見れば「80+ 20」とあり、東日本大震災の被災者支援のため発行されている寄付金付きの特殊切手だ。

 80円切手に20円の寄付金がついて1枚100円。6月から売られているという。震災地支援と聞けば年金生活者とはいえ、後へ引けない。10枚購入した。

 未曽有の被災地復興にはそれに見合う財源が必要だ。今、国の本格的復興への道筋がやっと見え始め、これから期待するところとなる。この切手は来月30日までの限定販売。切手1枚からの支援も積み重なれば「輪」が広がり、力になるだろう。そう思うと小鳥や花、ハートをあしらった図柄に温かさを感じた。

 大地震、津波のみならず、福島第一原発事故に伴う放射能汚染の中での復興は報道で知る限り容易ではない。被災地から遠く離れており、手の届く支援は何も出来ないが、早い復興を心から願っている。

  (2011.08.26  朝日新聞「声」掲載)岩国エッセイサロンより転載

「夫には私こそ私には夫こそ」

2011-08-26 06:38:29 | 岩国エッセイサロンより
2011年8月25日 (木)

 岩国市  会 員   山下 治子   

40代後半、2年の約束で夫は単身赴任した。が、すでに10年が経つ。赴任当時はまだ働き盛り、食べるより飲むことで胃袋を満たしていた夫は、かなりな勢いがあった。

 だが近年、体調不良を訴えさっぱり元気がない。一人暮らしは偏食がちで、脂肪、糖分、塩分と仲良くなり、検診の数値は基準を上回ってしまった。たばこをやめ、ついに酒も控えはじめた。

 それより前は、たとえお産であっても家族が離れて募らすことはしなかったが、子どもの成長や親の事情とあれば、致し方ない。家族のためと分かっていても、単身赴任はやるせなさが日々つのる。夫は精神面でも変調をきたした。医師から「10年ですか……。よく頑張っておられますね」と言われ、肩の力が抜けたようだった。

夫専属の家政婦兼介護人として、極力夫の元に出向く。合間には手料理を冷凍して送り、家族割り引きサービスの携帯電話で存分に会話する。子どもたちは「まるで遠距離恋愛やな」と笑うが、小気味よいその食べっぷりたるや、夫のスタミナ源は私だと思うのだ。

 赴任先の名物は、ひつまぶし。土用の丑の日、外食に誘ってみたが、「君の食事がいいんだ」と一言。夫の一言はうれしい私のスタミナ源となっている。
  (2011.08.25 朝日新聞「声;テーマ『スタミナ源』掲載」岩国エッセイサロンより転載