2011年7月20日 (水)
岩国市 会 員 片山 清勝
去年の夏、体調を崩し、朝顔に癒やされた妻が「来年は、この朝顔を植えたい」と採種した。梅雨に入る前、妻がその種をまき、苗を育てた。それの植え替えと水やりを私が引き継いだ。
その朝顔が咲き始めて1力月近くになる。初めて咲いた朝、去年受けた癒やしへのお礼も含めて「お久しぶり」と声を掛けた。以来、猛暑に耐えながら毎日、花を楽しませてくれる。私は1日2回、丁寧に水やりを続けている。
昨年、種苗店で買った苗の2代目だが、大きさも色も負けていない。妻は起きると、まず朝顔を見に庭へ出ていく。
その花は簿く柔らかくて、触るとすぐに裂けそうなほど弱々しい。しかし、あの細いつると朝夕にもらう水だけで暑い夏を生き続ける。そして、それを次代へ伝え残す。そんな秘めた力が、見る者を癒やしてくれるのだろうか。
朝顔のそばに初めてミニトマトを植えた。朝顔に負けじと実り小さな収穫を楽しませてくれる。
それを見て私は水やりを楽しむ。たっぶり水を合んだ土を見ると、自分も満たされたような感じになる。
(2011.07.20 中国新聞「広場」掲載)岩國エッセイサロンより転載 画像はフォトライブラリより