はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

「アユの塩焼き」

2011-07-12 17:09:54 | 岩国エッセイサロンより
2011年7月12日 (火)

 岩国市 会 員   林 治子

宴席に出た時のことである。アユの塩焼きを見てびっくり。化粧塩で尾、ひれが固められ、くねくねと泳いでいる。どうぞ召し上がれと言っているようだ。隣の先輩に「ちょっと」とつつかれるまで眺めていた。田舎者には珍しかった。

弟たちが夏、昼寝の時間を返上して川に入り取ってきた1匹か2匹。祖父や父の□には入っても私に入ることなどない。これが同じアユとは。骨を抜き取り、タデ酢につけると、一層のおいしさとうまみを伴うことを教わった。同じ物でもプロにかかるとこんなに変わるものかと感心した。アユといえば思い出す。  

(2011.07.12 毎日新聞「はがき随筆」掲載)岩國エッセイサロンより転載