はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

ポリープふたつ

2007-09-06 20:22:42 | アカショウビンのつぶやき

高隈山には 秋の雲が




ようやく七分がゆ


最後の朝食は、ようやく普通食になりました


美味しいスイカのゼリーもありました


お隣のベッドのIさん、看護士さんはみんな仲良し


 「ただいまー、異常なしでした(*^_^*)」と報告したいのですが……。
内視鏡検査の結果は、グレーでした。

 一緒に検査を受けたのは3人。控え室には1500㏄の大きなペットボトルがドーンと置かれています。3人とも最初はなかなか下剤が効かないと嘆いていたのですが、1000㏄を飲み終わる頃から、急激にお腹が空になっていき、いよいよ検査開始です。安定剤がよく効く私は、朦朧としているうちに検査が終わってしまいました。一緒に受けたお二人は異常なしでお帰りになったようですが、私だけ2泊3日の入院に。

 夕方、説明に現れた、ニコニコ顔の院長は、大腸の写真を見せて
「ポリープが二つありましたが、きれいに取れましたよ! 後は一週間後の組織検査の結果を待ってくださいね、但しポリープを切除した跡はクリップで留めてありますから、今後2週間は、これこれしかじか…」
と生活面の指導がいっぱいあり、「14日にもう一度きてくださいね」で終わりました。

 その時は、「異常なしですよ」と説明されたかのような錯覚に陥り、一緒に聞いてくれた姉夫婦と、「よかったぁ、これで命拾いだね」なんて、喜んだのですが……。

 後で頭を冷やして考えたら、「大丈夫ですよ」とは、一言も仰ってないことに気がつきました。さっきの写真を取り出し、しげしげ眺めると、1個はマスカットのようなつるつるの楕円形ですが、もう一つは富士山みたい。裾野は大きく広がり、頂上はゴツゴツ。あれーっ(>_<)これはヤバイ! と気がつきました。

 翌朝回診に見えた、相変わらずニコニコと優しそうな院長に、もう一度尋ねました。
「先生、こっちのポリープが気になるんですがー」すると
「その大きさなら全然心配いりませんよ」ですって。
と言うことは…??。

 14日が待ち遠しいアカショウビンでした。




粋なおしゃれ

2007-09-06 20:22:25 | はがき随筆
 私は日本の文化や精神が伝わってくる着物が好きだ。
 正月や気分を変えたい時に着物を着るが、細帯の締め心地、足袋の履き心地などは、洋服では味わえない身体に快い刺激である。
 女性の場合は着付けができないと難しいという点がある。だが男性の場合は、おはしょりなしの細帯一本なので慣れてしまえばすぐに着れ、粋なおしゃれを楽しめる。
 着物が似合わない日本人はいない。古くからある素晴らしい着物を、現代的センスで、多くの人に日常的に着こなしてもらいたいと思う。
   鹿児島市 吉松幸夫(49) 2007/9/6 毎日新聞鹿児島版掲載

父の入院

2007-09-06 20:15:23 | はがき随筆
 高校2年の夏休みも終わりに近づくころ、その日は出校日だったのだろう。お金をためてやっと英語の辞書を手に入れ、意気揚々と帰宅の途中、親戚の伯父さんに自転車で拾われた。
 水田に農薬を散布した父が昼食後に倒れて病院に運ばれたらしい。母を3年前に亡くしていたので「二親とも亡くして可哀そうに」と伯父さんのつぶやきが聞こえた。
 幸い父は一命を取りとめたものの、入院費用やその後の生活を案じて悶々とした数日を過ごした。新しい母に父を託して自活しかない、と父の入院で初めて人生の岐路に立った。
   霧島市 口町円子(67)2007/9/5 毎日新聞鹿児島版掲載