はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

はがき随筆4月度入選

2006-05-24 12:38:11 | 受賞作品
 はがき随筆4月度の入選作品が決まりました。
▽ 志布志市有明町、若宮庸成さん(66)の「今年の桜」(18日)
▽ 出水市高尾野町柴引、山岡淳子さん(47)の「ありがとう」(16日)
▽ 鹿児島市真砂本町、萩原裕子さん(53)の「志風さんのこと」(24日)の3点です。

 3月は春を称えるたくさんの文章を読んだのでした。4月も、三隅可那女さんが「陽気に誘われ」という文章にまとめておられますが、若宮さんの「今年の桜」、秋峯いくよさんの「雪柳」、上野昭子さんの「優しい香り」、福元啓刀さんの「桜の夜」、東郷久子さんの「入学」などなど、多くの方々が春の美しさや喜びを送って下さいました。道田道範さんは冬から春への大変換のすばらしさを、個性的な「スペクタル手品」という表現で表しておられます。
 とにかく、4月も春を称える文章がたくさん出され、楽しく読ませていただいたということなのです。また、春に関することだけでなく、皆さんとにかく、楽しいことを書きましたね。わかりやすいところでは、小村忍さんが「出水のツルマラソン」、小村豊一郎さんが「マラソンを見て」を書き、武田静瞭さんが「ピアノと金魚」、松尾繁さんが「ピアノ」を書き、それぞれ好きなものに触れる喜びを表しました。
 そういえば、同じように春を語っても、楠元勇一さんの「蕨の宿命」や清田文雄さんの「おかえり」、清水昌子さんの「ピンキーリング」などは、少し趣の変わった奥深いものがあります。ピンクのレンゲ草を美しく描きながら今は亡父への思いを描く山岡さんの「ありがとう」もいいですね。同じく亡父を偲ぶ別枝由井さんの「父の日記帳」、神田橋弘子さんの「亡き恩師に捧ぐ」や、萩原さんが皆さん方のお仲間だった志風さんを思う文章「志風さんのこと」などもしみじみします。
 これらに文章は、春への思いや風景などに郷愁や寂しさなどをしっとりと重ねて書いたもので、それぞれいい味を出しました。高野幸祐さんの「蕎麦とエッセー」はたとえを使ってうまく書かれたエッセー論ですね。さて、繋ぎと唐辛子とは何?
   (日本文学協会会員、鹿児島女子短大名誉教授・吉井和子)

 係から

入選作品のうち27日午前8時40分からMBC南日本放送ラジオで朗読されます。作者へのインタビューもあります。「二見いすゞの土曜の朝は」の「朝のとっておき」です。

雨音の中で

2006-05-24 10:59:10 | はがき随筆
 桜の花が散り、若葉薫る季節から、梅雨入りを思わせるような天気へと、目まぐるしく季節が移り行く。
 この時の中に、取り残されてモタモタしている私がいる。この4月、夫の転勤で新しい土地での生活が始まった。結婚して6度目の引っ越し。この土地は、人・光・風も優しく包んでくれて、心地よいのだが、心がなかなか前に進もうとしない。いつもリセットしながらの生活に、少し疲れたのかなぁ。ゆっくり時間をかけて、自分を見つめ直したい。「こうしなければいけない」から、少しでも解き放されて自分らしく生きて行きたい。
   志布志市有明町 西田光子(48) 2006/5/24 掲載