kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

下方修正ラッシュ

2023-02-09 06:16:49 | 日記
化学大手6社の決算が出揃いました。信越化学を除く5社が下方修正に追い込まれその
総額は2780億円でした。信越化学の上方修正が際立ちましたが、その違いは収益構造
の違いなどにあるようです。米国子会社で手掛けるシェア首位の塩ビ事業は原料の天
然ガスから一貫して手掛け価格面での有利性に加え高いシェアも値上げを通りやすく
しています。

一方他の化学大手は原油高をアジアでの製品石油化学製品に転嫁するのが遅れていた
ところに、アジアや欧州の需要減退に圧迫されて利幅が取れなくなりました。加工貿
易型の日本の化学メーカーの収益基盤の弱さが浮き彫りになりました。汎用品では差
別化が難しく好況時と不況時で収益変動が大きくなります。

日本の大手化学は再編が遅れシェアが低く市況下落時には一気に収益が落ち込みます。
化学業界の優等生である信越化学はいち早く需要の高い米国市場でビジネスを展開し
シェアや収益力を高めてきました。塩ビ事業に加え半導体ウエハーでも世界シェア首位
です。フォトレジスト、希土類磁石などでも有力です。

いち早く将来を見据えビジネスを拡大してきた故金川会長の経営手腕が秀でていたこと
でしょうか。三井、三菱、住友といった旧財閥系の化学大手が経営改革が進まなかった
のとは大きな違いです。

化学大手だけでなく多くの日本企業が好況時には収益を伸ばせるが、いったん経済が
落ち込むと大きく収益を落とすというのが日本企業のPBR1倍割れが多いのとPERが
欧米企業に比較して低いという原因でしょう。

化学業界だけではなく決算で下方修正に追い込まれる企業は予想以上に増えています。
株価は業績悪を先どるように既に昨年秋以降大きく下落したところも多く、銘柄によ
っては悪い決算でも当面の悪材料が出尽くしたということで反発する場面もありました。
もっとも投資家が期待するような回復が今後見えてこなければ低迷から抜け出せません。

日経平均は1月以降大方の予想に反して上昇しています。もっともこれまでの上昇は日銀
の政策変更から大きく売られた12月下旬以降の揺り戻しかもしれません。米国の雇用統計
に結果からも米国の大きな景気後退は避けられそうだということが最近の株価堅調の背景
かもしれませんが、一方インフレが市場が期待したよりも下がらないかもしれません。

日本独自の株高材料がある訳ではありません。頼みの米国市場が何らかの原因で下落すれ
ば日本株への影響は避けられません。2月から3月上旬にかけては調整するケースも多く
足元の株価水準から考えれば慎重な投資が欠かせません。
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