『縄文の生活誌』

2011-07-23 19:40:08 | 本の話
岡村道雄著『縄文の生活誌』
講談社学術文庫、日本の歴史全26巻の第2です。

読み応えがあります。
話が細かくなりそうな種類の本ですが「煩瑣だ」とか
「読みづらい」などということはありません。

文中、物語風にしたてたところがあり
新しい試みだと思います。
イメージが浮かびやすくなりますね。

学問的な裏付けがある「物語」ですから安心。
とはいえフィクションが全くないか、筆が走り過ぎた
処がまったくないか、・・どうでしょうか。

また終わりには例の東北旧石器遺跡ねつ造事件について
細かくかつ真摯な文もつけられており
ここだけを読んでも興味深いものがあります。


中学生のころ、鎌倉新仏教など習ってもピンとこず
結局マル暗記でテストの対応をし、すぐに忘れ去った
のと似たことが古代史を読んでも言えます。
(ちょっと恥ずかしい話ではありますが)

縄文前期はどんな土器で、中期・・・
勉強してもすぐに忘れてしまうのですね。

およそ1万年、変化・発展の少ない社会であり
弥生時代になって大きく変わり始めた、などという
古い知識に災いされて頭が固くなっていたのでしょう。

変化の少ない社会であれば平板で面白くなく
したがってイメージも湧きにくい、ということだった。

ところが近年の研究の進展で、かなりドラマチックな
社会で、文化的にも面白いものだと分かってきたのです。

心のありようや暮らしの様子が見えてきたのですね。

「なるほど」と納得がゆく本でした。


松井章『環境考古学への招待』岩波新書

副題が「発掘からわかる食・トイレ・戦争」

この本は縄文時代だけとは限りませんが
上記、岡村道夫さんの本と併読しました。

こちらも大変に面白い本です。
ウンチクが増えますね。

もちろん、学問とはいかにあるべきか
現代の官僚的な仕事を鋭く批判されています。

おすすめ。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿